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グッバイ、サマーのmaiのレビュー・感想・評価

グッバイ、サマー(2015年製作の映画)
3.9
良い、凄く良い映画でした!

14歳という思春期真っ只中の少年2人がウンザリする日常から逃げるべく家出をする…という青春ロードムービーです。
そして、かなり思春期を拗らせています。笑
1人は恋愛に興味津々なのに臆病だし、もう1人は変わり者で機械オタク。
周りと同じじゃないと不安だけれど、同じなら同じで嫌。っていう分かりすぎる矛盾を抱えているところがまず等身大で好きでした。そして、結構性にオープンなのも、男の子って実際こんな感じなのかなぁと思えました。
2人が家出するのが最大の転機なのですが、その道中もあれやこれやと小さな問題が続いていきます。決して派手な映画ではないけれど、フランスの田舎っぽい風景に容姿端麗な少年2人という独特な雰囲気で好きでした。また、言葉がいちいち秀逸なんです。
思春期って確かにそんなこと思ってたなぁと共感できるし、脚本の方はよく見抜いてるなと感じました。
行き当たりばったりのロードムービーですし、後味は決してよくはないのですが、その破天荒さと苦さも青春だなと思います。アメリカとかのキラキラな10代を描いた作品も好きだけど、絶妙に冴えない2人が勢いで家出したっていう(良い意味で)地味な映画もいいですね。

周りの大人たちは子どもをなんとか自分の手の中で管理しておこうとするけれど、それに反して、彼ら2人の周りの子どもである友人たちは結構大人な対応をしてくれるんですよね。そこがまた良いんです。
兄弟は家での計画を聞いたら電話を持たせてくれて心配して、気持ちを理解してくれるし、フットボール?をしてた大人の一歩手前の青年も引き際を見極めてくれるし、想いを寄せていたローラも妙に大人びた対応をしてくれるんです。
最後のローラの別れのシーンは、さすがフランス!と言いたくなるようなオシャレさと余韻を残してくれます。
確実に彼が成長して未来に向かってるのを感じさせてくれる、切なくも力強さを感じるシーンでした。

人間関係はシンプルだし、家族の抱える問題も分かりやすいし、何より突飛な話(家では突飛だけど、扱ってるテーマは凄く普遍的)が出てこないから変に共感できてしまう映画です。
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