Cerro

この世界の片隅にのCerroのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
「戦争」という問題系は常に、それを語る者の立ち位置を要求する現象です。すずさんが、この映画が、反戦的なスタンスをとっているかどうかと言えば、「そうとも言える」というのが答えなんだと思います。戦時下の日常のリアルが忠実に淡々と描かれているようで、それぞれの登場人物の心をひっかき、まぜこぜにしていて、はい、草団子の出来上がり、と言わんばかりです。それぞれのキャラの設定もたっていて、自分の心も草団子になりました。たんぽぽ。演出ももの凄く素晴らしいです。風に踊るうさぎのよろこびも、腐れ茸へ向かう白鷺の飛翔の悲しみも、微笑とはいえないほどのかすかな微笑さえも絵の具で彩られていきます。上映が走り出した後は止めようにもそうできない「この世界の片隅に」現象を引き起こし批判や称賛を受けていて、それでいて美しいこの映画は、存在しているだけで意義のある映画の一つなんだと思います。なので、よく「火垂るの墓」と比較されていますが、それはナンセンスな気がします。
これ見やすいし、心から鑑賞をお勧めしますよ。原作から話がかなり端折られているみたいなので、原作も読もうと思います。
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