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この世界の片隅にのgrandpeutetreのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
3.9
戦争前後の広島あたりのお話

予告は少し野暮ったい印象を受け、よくある戦中でも逞しく生きてく系のお話なのかなと思っており、あまり期待してませんでした。

確かにそういう話でもあるんですが、実際にみるととても引き込まれる。

当時の世相を細かに映し出すのでリアル感があります。
鉛筆の削りかすそこに捨てるんだとか、洗濯物しぼった水をバケツに入れて畑まで行ったり、風が強いから海苔を干す板を低く立てかけたり。

そんな生活に結びついた情景が、物資が不足したり、畑からたくさんの軍艦が見えたりと、戦争が別個の世界ではない、身近なものとして刻々と迫ってきます。
空襲、死傷、家屋の喪失などの非日常が日常を侵食していくにもかかわらず、そこに劇的ななにかがあるのではなく、静かで不可逆な心的物的変化を見せつけられていく感じ。

そんな現実的な世界観の中で、主人公すずが実際に、また心の中で描き出す絵や風景が、また印象的で美しい。

世界の片隅に居場所を見つけて普通に満足して生きていきたい。

パンフは1000円
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