TaroSonoda

この世界の片隅にのTaroSonodaのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.7
以前から口コミでかなり話題となっていた作品。年末に2016年最後の映画観賞として、この作品を観ました。

まずこれは誰しも言ってることですが、この映画は作品として間違いなく2016年のみならず、日本映画史上でも屈指の名作に今後なっていくだろうと思われます。

メッセージ性、世界観、脚本、編集、キャラ描写、時代考証、音楽、カット割りなど、アニメーションでありますが、どれも圧倒的な完成度だと思います。どのカットもひとつひとつが全て計算されていて、もうそれだけでお腹一杯という感じです。

この様に説明していますと、どこか高尚なイメージを持つかも知れません。しかし、その様なことはなく、基本コメディタッチで描かれるので子供から大人まで幅広い世代で観やすい作品だと思います。
たしかに、題材が戦争を扱っていますので、それなりに残酷なシーンもありますが。

何よりこの作品が素晴らしいところは、戦争に対して反戦でも戦意高揚な態度をとっていないところだと思います。
昨今の戦争ドラマでは、反戦や戦争の悲惨さを説教のようにクドクド言ってきます。

たしかに、その様なことは非常に大切なことではありますが、戦時中の人はそんな事を考える暇はなく、とにかく日々の生活を送ることで精一杯だったと思います。

今回の作品はその“生活”に大きなフォーカスを当てています。
そこで分かったことは、時代は違えど、確かにそこに人々がいてそれぞれ「日々の生活」を送っていたということです。
これは現代の私たちに通じる普遍的なものであると感じました。

生活という点で迷った時観たい、そんな作品です。
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