タマン

この世界の片隅にのタマンのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.4
今週はダンケルクを映画館で観て、とうとう今度は本作をみた。
1週間に第二次世界大戦物の映画を2本も観たわけである。

さて、ダンケルクは男性目線の映画である。ナチスに包囲され緊迫の最前線に放り込まれる体験型ムービーだ。
そして本作。これは女性目線の映画だ。生活を守る話しで、嫁いだ先で円形脱毛作りながらも生活を切り盛りし続ける女性の闘いの記録でもある。本当にナズナ、はこべらーと、なんとか〜〜って料理するとこが、戦争だけど悲惨でなく楽しくもある。
生活を描く視線が低く、アリもカブトムシも蝶も空襲受けても生を営んでいる。

時間的経過はものすごい速いテンポで、ドンドン経過し、子供~結婚〜戦争と目まぐるしく時代が流れていく。でもすずちゃんは急流の川の中の緩やかな淀みに浮かぶタンポポ毛のようにゆっくりしていて癒される。
そんな彼女が終戦玉音放送後、なんために戦っていたのーって泣き出し、視線の先にかぼちゃ移ったシーンが象徴的。

この時代、どの人も家族の誰かを失い家も破壊されている。
両親が亡くなったことも「そうかあ〜、大変だったねえ。帰ってこれんでごめんねえ」って淡々となってしまうほどの戦争の凄い圧力と疲労感でエネルギーを巣食うを感じました。
悲しむこともエネルギーがいるんだなと感じた場面だった。


もう一つ言いたいのがあって、クラウドファンディングでみんな出資した映画だけど、みんながお金出したい!って、支援したいって心の底から思うことが納得できる大変凄い映画だと思った。
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