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この世界の片隅にのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
3.8
Apr 3rd

ようやくみれました。

ここまで史実を忠実に描いたアニメーション作品というのはめずらしい。アニメーション作品は、現実世界では起こり得ないことを生み出すことに価値があると思ってきた。例えば、ジブリにしても、ドラえもんにしても、フィクションだからこそ、愛らしいキャラクターが活きてくる。ちょっと架空の世界にはいって、リラックスしたり、浸りたいなと思った時にみるのがアニメーションで、子供達が好きなのもそういうことだと思っていた。

この作品は違った。架空の世界の要素はほとんど出てこず、かなり史実に則った作品。あまりそういうのは受けないのかなと思っていたのだが、絵のタッチ、方言を使ったセリフ、のんの声もフィクション的要素を代替わりしていたからこそ、まろやかな雰囲気をうみだせていたんじゃないかなとおもう。

アニメーションとしては、時代の流れに逆らった手法で、かなりの枚数を書いて、あえて動きをスムーズにせず、アニメーションながらも、パラパラ漫画のような生命感のある動きを表現することにこだわっていた。そのため、技術力としてはそこまで高くないのだが、伝えるテーマとその手法の選択にかかる労力というものはとても高かったと思う。主人公のすずのコメディの要素は、昔の漫画に通づるところがあり、これは日本にしか表現できないものだと思う。海外でこれが評価されるかどうかは別として、日本の歴史を伝える作品として、今後も残り続ける作品の一つではないかなと思いました。
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