るるる

湯を沸かすほどの熱い愛のるるるのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

和製ダンサーインザダーク。とても後味が悪い・倫理観が狂ってるけど、伏線の貼り方とか細かな描写の丁寧さ、配役のハマりなど全体的に映画のデキが良い。

やけに心を動かされるのは負の方向に大きなベクトルが向いているからで、つまり映画として質が高いんだと思うんだけど、脳がそれを受け入れるのを拒む…
後味の悪さはニアリーイコール面白くないではないのですが、監督の意図的には感動モノなのかしら?と感じてしまい、その乖離に違和感が残ってしまうんですよね…

毎年食べてるタカアシガニとか、手話のわかるあずみとか、しれっと入れている描写を唐突に繋げるのは本当に心が壊れるからやめて欲しい。双葉さんが一体なんの業を背負ったというのだ…

とにかく双葉さんが不憫すぎる。自身も母親からの愛情に飢えているのに、自分の周りに母性に飢えている人間が多すぎるため、献身的にその役割を買ってでる
あずみが不登校になりかけ叱責したときも、あずみの実母である君江が母親のロールから逃げたことを重ねてしまったんだろうな。

鮎子に至っては、双葉も過去の自分と重ねて迎えにいっただろうに、鮎子の本心では本当に好きなのは実母であって双葉は庇護してくれる人、母親のロールを期待される人でしかないと思われていたのがね…。だからこそ9歳なのによそよそしい敬語でおねがいしているわけで、それに双葉が気づきつつもすぐに受け止めているのがやるせない…。


なんだかんだあって最後にはオダジョーも帰ってきて双葉がいなくなってもやっていけるよ!とみんなで安心させてあげるわけです。あずみにもひとりぼっちにはさせないよと本当の母親に言ってほしかった言葉をかけてもらって、ようやく成仏できる…と思った矢先にあの火葬シーンをぶっ込んでくるじゃないですか
双葉の湯にみんなが浸かり亡き母を想うシーンは、どうしても最後まで双葉に母親のロールを求め命の灯火が消えるまで搾り尽くしているようにしか見えないので、実はみんな自立できていないのではないかと不穏になる

そこであのタイトルコールを持ってくるので、監督マジかとなって感情が持ってかれる。
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