バーニー

湯を沸かすほどの熱い愛のバーニーのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

言葉では言い表せない程の、双葉の深い愛情を感じた。

膵臓癌だと知って愕然とする中、安澄から電話がかかってきて、「今どこー?お腹すいたー。餓死しちゃうよー。」と、「死」という言葉を軽く扱うのに対して、一瞬無言になるも、「美味しいカレー作るから待っててね」と答えたこと

イジメにあって制服を絵の具だらけにされた安澄に、学校に駆け付けた双葉が「好きな色は何?」と何気ない会話を始めたこと

イジメに立ち向かって学校に行った安澄を、心配だからと家の外で待っていたこと

鮎子の誕生日翌日に朝からしゃぶしゃぶを食べたこと

安澄と鮎子との小旅行で「全て話してくる」と言ったのが、双葉の病気のことではなく、安澄の母親のことであったこと

安澄がいつか本当のお母さんと会話できるようにと手話を覚えさせていたこと

血の繋がりはなくても、これ程までに愛情を注ぐ双葉に、何度も涙しそうになった。

家族だけでなく、その愛は拓海や滝本(探偵)の娘にも感じられた。

その双葉の愛を受け取った者たちが、今度は双葉のために、一浩のお願いを聞き入れてピラミッドを作る。

ピラミッドの土台になった一浩が、「こうやってみんなを支えるから!だからお前は安心しろ!」と叫ぶシーンには涙が止まらなかった。

それを見て、泣きながら「死にたくないよ」と双葉が言った時は胸が締め付けられた。

最後、お風呂の釜で双葉を焼き、それで炊いたお風呂にみんなで入るというのは、非常にショッキングで、これが究極の愛なのか…と呆然としてしまった。

タイトルの意味がここでわかるなんて…。勿論このシーンのみを指したタイトルではなく、この物語全体を「湯を沸かすほどの」と表現しているのだと思うけれど。

わざとなんだろうけど、タイトルのフォントをこれにしたのは謎。もっと優しいフォントでも良いのでは…。

宮沢りえの役者魂は本当にすごい。この映画で彼女のことが大好きになった。

オダギリジョーも、彼にしかない魅力があって非常に良かった。