骨折り損

湯を沸かすほどの熱い愛の骨折り損のレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.6
熱い愛は確かに感じた。
でもその愛が好みかと言われるとそうではなかった。

兎にも角にも、いじめられている娘を無理矢理学校に連れて行く母親をどうしても好きになれなかった。それが全てだと言っても過言ではない。自分が死んだ後も、強く生きて欲しいから、逃げないで欲しいから。意味はわかる。気持ちも分かる。でも僕の感情が追いつかない。自分はそういう人になりたくないと思った。

冒頭で主人公(双葉)の人間性に対して疑問を持ったので、それ以降も彼女の行動にいちいち引っかかってしまって、素直にこの家族の物語を応援しにくい部分があった。例えば、家出したあゆこを双葉が見つけた時、「仕事サボった罰で明日働いてもらうよ」って言うのも、個人的にはなんで第一声がそれなんだとゲンナリした。黙って連れて帰ってあげろよと思ってしまった。

その強く生きろ精神は、娘のあずみにもしっかり受け継がれていて、あゆこに対して「お母ちゃんと会う時はもう泣かないって約束ね」とお尻を蹴るのも、好きな人は感動ポイントかもしれないが、双葉の哲学がハマらない僕は、そんな小さい子にキツイよと思ってしまう。

双葉の行動を軸に物語が進んでいくので、大前提としてこの人を好けないと共感するのは厳しい話だと感じた。

しかし、娘たちが母の病気を知るところや、母が亡くなるところも、さらっとしていて、そこで泣かせようというくどさがなかったのは好感が持てた。物語も終始ポジティブな空気を感じられてよかった。

ただただ個人的に、双葉の教育方針を自分は好きになれなかっただけです。
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