ニュルンベルク裁判において裁かれなかった元ナチ党員たちを、若い検察官が起訴する話。
ナチスの主要指導者、わずか22名しか裁かれなかったニュルンベルク裁判。
そこで罪に問われることなく、戦後社会に溶け込んでいたアウシュヴィッツの元ナチ党員らをドイツ自国の法で裁こうというのが、本作のベースとなった「フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判」である。
フリッツ・バウアーという検察官の働きかけにより行われた。
この裁判が始まった1960年代のドイツは、経済復興を遂げ、戦争の過去が封印されようとしていた時期にあった。
司法や政治の内部には、ナチ党員としての活動歴を隠したまま働く者もおり、また、国民感情としても「寝た子を起こすな」という風潮がある状況だった。
結局、裁判ではアウシュヴィッツの副官だったロベルト・ムルカ含む22名が起訴された。
これを皮切りに、アウシュヴィッツにいた8000人あまりの親衛隊員のうち、789人が裁かれることになった。
現在ではドイツの歴史認識を変え、過去の検証への契機となった裁判として評価されている。
情報が長くなってしまったが、映画はというと普通だった。
掴みは良かったものの、その後失速した印象。
また、少々語りすぎ、ドラマ性に寄りすぎなように感じてしまった。
ナチスへの責任追及について知るきっかけにはなったので、観て良かったと思う。