やかじょ

ハッピーアワーのやかじょのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.2
2021年映画締め。ずっと観たかったけど、ソフトレンタルとか見かけないし、もちろん配信もない、上映館を見つけても遠かったり、オールナイトだったり。やっとチャンスが回ってきた。
確かに上映時間が長い感じはしなかった。ただ間に休憩が入ると、集中力は途切れた。

最初はみんなの演技に違和感があったけど、基本プロの俳優さんじゃない方のワークショップで作られた、みたいな話を読んで納得した。でもシーンが進むにつれ、その演技が馴染んでくる。

途中のワークショップのシーンや朗読のシーンなどを相当きっちり映す。この作品に限らず、「ドライブ・マイ・カー」の個人的なベストシーンだった稽古のシーンとか「寝ても覚めても」にも演劇のシーンがあったはず。生物(なまもの)をそのままパックしたい、そんな感じなのかな。あと、そこを丁寧に映すことでリアリティがグッと増す。ドライブ・マイ・カーの例のシーンでも「湯気」の朗読シーンもまるで本当にそこにあるかのような感覚に陥ってしまった。

純の夫がまるで機械みたいな冷たい感じだったのに、突然朗読会のゲストを頼まれた時にそれまでと一転人間的な温かい言葉で他人と会話してるシーンも印象的。
私が見ているその人の一面はそれで全てではない、ということや、家族・恋人・友達、どんなに話をしていると思っても、全てが理解できるほど本当の話が出来ているとは限らないし、話をする努力を怠ってはいけないということを学んだ。映画を観て、学んだ、なんて無粋だけど、でもそういうこと。


プロじゃないからこそ、本当に友達だったような感覚になる。たまに鵜飼の顔を思い出して、この人どこで会った人だっけなぁとなるくらいには意識に刷り込まれてる。

こんなに長くてもまた観たいと思える不思議な映画。