遊

ハッピーアワーの遊のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
5.0
第二部で終わっても★5.0だった
第三部が来て★2京

「好きとかはもう、わからんくなってしまった でも愛してるの」が一ミリも嘘くさくなくこちらの心に入ってくる それだけで5時間の映画の厚みに感謝する

第二部の最後の息子の言葉で 物語の業の深さが一気に増した それまでもすごく深いところへ連れてってもらってたのに

濱口竜介のつむぐ言葉の誠実さは、そのまま人生に向き合う態度の誠実さと「切実」さに直結してると感じる 全ての登場人物が誠実な言葉を吐き、切実な問題を抱えて行動している そのさまを316分観てると 自分の人生はどれだけ切実なものか?と考えてしまう

他人に期待せず、無関心でいることが幸せに生きるコツだ、っていう人生ハウツーがここ数年 言い回しの手を替え品を替え繰り返しバズっている、確かにそうだと思うけれども、そうやって得られる安寧の人生と 他者に踏み込み・踏み込まれて魂にたくさんの痕ができていく人生があるとして、後者にも魅力を感じてしまう自分もいる でも後者を選んで生きてると知らず知らずのうちにおびただしいハラスメントをカマしていきかねないなとも思う

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2023/5/27(土) 2回目 新文芸坐オールナイト

これ観ないことには始まんないから、と言って 一緒に舞台や映画をつくる2人を連れて観た それぞれにすごく大きなものを受け取ったようだった よしよし
三浦哲哉著「ハッピーアワー論」を読みつつ、《重心》というタームでコミュニケーションという営為を、ひいては人生の総体を描き出しているこの作品から受け取った思考のバトンを握り直して自分の人生を走る
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