弟二郎

ハッピーアワーの弟二郎のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.9
冒頭、おばちゃんに片足突っ込んだようなどう見たって素人女性4人の、ど素人で単調なリズムの会話。その後なにやらいかがわしいワークショップが延々と描写され始め。しかも出てくる面々もどいつもこいつも同ど素人感丸出しで。
どう考えたって5時間17分は無理やろと。帰ろうと何度も席を立ちかけたけど。打ち上げ辺りからちょっと空気が変わって。主役の1人の面構えがどう見ても変わって。おいこれもしかして織り込み済みかという疑念が頭をもたげ始め。
まさかとは思いつつ2部まで見届けることにしたらあとはもうやられた感まみれ。瞬く間の4時間強。雀卓越しの切返し。インド人@リアリズムの宿インパクトな滝の女。巧妙な脚本が隠したその爪の存在を見せつけるフェリーのくだり。
3部、砂の器ライクな劇中ライブテイストどころかトーク&質疑応答&打ち上げ付き。しかも雪の轍も真っ青な冷戦会話劇風味。創作者の人生経験不足にまで言及するかと感心する間もなくそれを擁護する者まで出してくる委曲っぷり。
序盤どう見たってど素人で貧乏くさくて冴えなかったはずの連中が、必ずしも折り合えない様々な立場の様々な身勝手な思いを主張したままでいつの間にかどいつもこいつも実に魅力的なキャラクターになってるし。もうなんなんだこれ。
5時間17分。チケット代3倍。必然見た人も少数なこんな映画を昨年公開もののNo.1とかいうとなんかスカした感じでやだなとも思えど。どう考えてもこれ以上にやられた映画も好きな映画もない。2015年の公開作中No.1。
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