noris

悪のクロニクルのnorisのレビュー・感想・評価

悪のクロニクル(2015年製作の映画)
3.8
昇進目前の江南警察の課長(ソン・ヒョンジュ)は、トラブルを避けるよう署長から念を押されていたにもかかわらず、タクシー運転手に襲われて返り討ちにしてしまう。そのまま現場を去ったのだが、翌朝になると、死体は警察前の工事現場に吊るされていた。犯人を挙げろと厳命されたソンは気が気ではないが、現場に乗り捨てられたタクシーから新人刑事がソンのネクタイピンを拾う一方で、自分がタクシーに乗り込む映像が記録された街頭カメラのDVDを盗んで殺人を隠蔽しようとする。

という「最後まで行く」的な序盤は、悪くないのだが、ソンが現場を去る描写がなぜか省略されているため、「死体をクレーンに吊ったのは誰か?」という、ソンが気にしているはずの謎が曖昧になっていることがひっかかり、今ひとつ話に乗れない。

最終的にはその謎も含め、すべてが意外な人物の仕組んだ陰謀であることが明らかになるのだが、隠蔽・保身に徹するわけでもなく、ひそかに真犯人を追うでもないソンの行動がだんだんストレスになっていく。

驟雨の中で少年が立ち尽くす短いシークエンスが冒頭にあるので、それが誰なのかをめぐる映画なのは明白で、そのどんでん返しの評価が高い映画なのだが(チョ・ダニエル演じる俳優崩れの薬中に「ゲイの噂がある」という伏線なども芸が細かい)、そういうわけで私には今ひとつであった。マ・ドンソクが犬死にする理由もわからん。
noris

noris