このレビューはネタバレを含みます
事故で90年早く目覚めてしまった男が
冬眠中の女に惹かれ自分の欲で目覚めさせる。
それを知ったオーロラの動揺が
あまりにもリアルで引き込まれる。
怒り、悲しみ、虚無、葛藤。
愛した人に騙されていた事実。
「溺れるものは必死で誰かにすがる
そうしないと溺れ死ぬ」
ガスの言葉が心に残る。
宇宙へ身ひとつで飛び出そうとした
ジムは溺れ死ぬ手前だった。
ジムを救ったのはオーロラだった。
オーロラでないと救えなかった。
生活に必要なものが全て揃っていても
人間は1人では生きていけない。
分かっているようで分かっていなかった事を
身に染みて感じた。
孤独に耐えられない生物なのだ。
オーロラが自分だけ冬眠装置に入ることを
選ばなかったと分かる最後の描写が好きだった。
船の中2人で生きることを決断し、
自然を作り、穏やかに過ごしたことを想像させる。
目的を達成しなくとも幸せに生きる事はできる。
ジムと生きることがオーロラにとっての幸せだったのだ。