Acne

スパイダーマン:ホームカミングのAcneのレビュー・感想・評価

3.5
【スパイダーボーイ】

69点

トム・ホランド主演のMCUスパイダーマン1作目。

「サムライミ版」「アメスパ版」と比べるとグッと精神年齢が幼くなり、以前までの2シリーズと比較すると学園ドラマを主軸に描いているのも、今までのスパイダーマン映画としては新しい所。

今までの実写シリーズ作品とは違い、人の死に直面していない事も大きな違いとして挙げられる。

だからこそ、全体的に雰囲気がかなり軽い。
正直、私個人に関してはスパイダーマン映画には、サムライミ版のような苦悩・葛藤を主軸に描くストーリーをどうしても求めてしまうので、そこを思うと物足りない感はある・・・。
(そこを描いていたら多分、何回同じことを描くワケ?と文句は言っていた可能性はあるが・・・。)

正直、今作のピーター・パーカーは、相談出来る親友もいて、女の子をサラッと誘える程度にはコミュ力はある。
そして、周りの環境的にも今までのシリーズに比べるとかなり恵まれているし、とにかく憧れの人達に認められたいという一心で明確に子供である。
(※今見るとサムライミ版のピーター・パーカーを取り巻く環境が苦難と逆境しかなくてvery hard過ぎて笑える。)

今までの2シリーズ共にスパイダーマンになるキッカケとして「ベンおじさん」の死が関連していたのでその経緯と覚悟には重みがあった。
今作のピーター・パーカはまだ子供で憎めないクソガキ感溢れ、好奇心の延長戦上でスパイダーマンをやっているのが今までのシリーズとは、明確に違う。

繰り返しになるが、その無邪気さが魅力でこのピーター・パーカーが好きという人が多いのも分かるが、やはり私はトビーマグワイアが演じていた不器用感が感じられるピーターの方が好きである。

敵役のバルチャーを演じたマイケル・キートンは良かったと思う。
まず、素顔がシンプルに怖い。

敵のヴァルチャーの正体が分かった時の演出と地獄の親子ドライブのシーンは、「ジョン・ワッツ」の監督としての持ち味の手腕がいかんなく発揮されており、今作で一番の見ごたえがあった。

言葉ではなく、演技・演出で「大人を舐めるなよ?」と描きっており、このシーンは何回見てもいたたまれない。

ただ、敵としてのヴァルチャーは歴代スパイダーマンの敵役と比較すると、魅力はイマイチ。
あくまでも武器を装備しただけの生身の人間。
やはりスパイダーマンの悪役は実験等に巻き込まれて、悲哀を感じつつも暴走してしまったモンスターや超人ではあって欲しい。

家族の生活を守るためという、一般的な理由では悪役としての魅力はそこまで引き立っていない。
マイケル・キートンの「お前、顔怖えぇよ・・」感で何とか魅力を保っていた感はある。


ただ、今までのスパイダーマン映画とちゃんと差別化できており、
差別化できているポイントで作品内の世界観と魅力は構築は出来ているとは思う。
ただ、私の中のスパイダーマン映画への基準が決まってしまっているため、やはり物足りない感が残るし、サムライミ版(1、2)は超えられてはいないな・・・とは感じた作品。

当然、想像を超える面白さを提供されれば、そんな基準関係なく
このスパイダーマン映画最高!と言えるのだが、全然そんなレベルには感じられなかった。

厳しく言うとMCUの作品としても特筆して面白い作品ではないと思うし、
基本的に「うん、まぁ言いたいことはあるけど、面白くはあったね・・。」という多数ある平均点より少し上レベルのMCU作品群の一つにしかなっていないとは思う。

そんな作品でした。
Acne

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