松本

スパイダーマン:ホームカミングの松本のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「スパイダーマン ホームカミングを観て、マーベル映画を観てない人・すべて観ている人に向けて考えたこと」

普段レビューは書かないけども、これは周りに言わねば!伝わってない人がもしもいるなら、伝えなければ!と思ったので長くなるけど書きます。

多分、マーベル映画を観ている人・スパイダーマンを勧めたい人は、マーベル映画を観てない人から、「スパイダーマンって、マーベル映画観てないんだけど知らなくても観れるの?面白いの?」って聞かれるシーンが、これから先少なからず何回かはあると思う。
その時答えるに当たって、先に言いたいのは、「スパイダーマン ホームカミングという映画は"誕生劇"ではなく、"成長物語"である」ということ。

スパイダーマン、アメイジングスパイダーマンはどちらも「誕生劇」から始まって、その後の「覆面でヒーロー活動をしている」というスパイダーマン故の苦悩の物語…みたいな風に展開していってた気がするけど。
ホームカミングは誕生劇を全部端折ってる。蜘蛛に噛まれるシーンもなければ、ダイジェスト的な部分もない。
「キャプテンアメリカ シビルウォー」での活躍から物語が始まって、トニー・スタークとの関係性とかいろんなものが最初に詰め込まれている。つまりはアイアンマン、アベンジャーズ、キャプテンアメリカを観てない人からしたら、「なんだこれは?」

観る前に一番危惧していた事は間違いなくこれ。「スパイダーマン」と言えば、普段全く映画を観ない人も知っているような、日本の中で一番知名度の高いスーパーヒーローだ。
「アイアンマン?なんか聞いた事あるけど…」みたいな人、結構いる。実は結構いる。我々は好きで観ているけど、逆にスパイダーマン以外のマーベル映画を観た事ある人の方が少ないんじゃ?って感じるレベル。
考えられない事だけど、実は本当に結構いるもんだと思う。そんな中でも言われればパッと見た目が想像できる、どんな風に戦うのか知ってる!ってレベルの知名度を誇ってる(と思う)スパイダーマン。
トレーラーにはアイアンマンの姿があって、好きな人たちは滾ってるけど、「実際どうなのこれは…?」と。
つまりは時系列的に「シビルウォー」の次から始まるわけで、となるとシビルウォーとかアイアンマンを見てない人は当然「誰だこれ」「なんだこれ」になっちゃうわけで…。

これはいかん!!!!!!!
って思った。
スパイダーマンは日本の中でも一番知名度のあるスーパーヒーロー。言えば、「スパイダーマンって新しいのやるんだ!観てみようかな!」って人が少なからず(ていうか結構)いると思う。
その人たちが観た時に置いてけぼりになってしまう可能性もあるわけで(アメリカ軸で考えるとそんなこと滅多にないのかもしれないけど)、置いてけぼりになった人が「なんかよくわかんなかったね〜」で終わってしまう…。

嫌だな、それは。
見所がたくさんあるのに「よくわかんなかったからあんまり」なんて評価は嫌だな…。

と、思い続けて数ヶ月!!
マーベルロゴが出るまでに既にヴィランが誕生。ロゴが出てからは前述通りダイジェスト風にシビルウォーに参加したこと、トニー・スタークに関わったことが淡々と(ほんと淡々と)描写されて、学校生活が始まる。
「蜘蛛に噛まれて超人的能力を得たこと」や、「ベンおじさんの話」「シビルウォー」については一切説明なし(途中でふんわり蜘蛛に噛まれたことを匂わせる部分はあったけど、そうなった経緯は一切描写なし)。

「嗚呼…展開が早い!これじゃシビルウォー観てない人わかんないよ!!」
なんて思いながら、誰でも笑えるようなギャグシーンも多くて良かったんだけども、他の映画や他のヒーローを揶揄する発言が全体的に多くて、他のも観てた方が面白いことも否めない。

これ観てて、他のシリーズ観てない人、どう思ってるんだろう。
私はマーベル映画は大体観てるから、特にわからないところがなくてわかんない人がどうなのかよくわかんないけど…結構序盤飛ばしてたし既に置いてけぼりだったり?
と、思ってたけど途中の戦闘シーンあたりでハッとした。
寧ろ、最初にあんなにぶっ飛ばしてたのがよかったんだ!
なんせこれは、スパイダーマンの誕生劇ではなく、ピーター・パーカーの成長物語だから。
大事なのはスパイダーマンがどうして戦っているのかとか、どうしてスパイダーマンになったのかとか、トニー・スタークとの関係とか、シビルウォーで何があったのかとか………ではなく!!
ただ、ピーター・パーカーが成長していくことを見守ることにあるから…だと思う。

つまりは、スパイダーマンがマーベルに置いてどういったキャラクターなのか、は重要ではなく、「ピーター・パーカー」がどういうキャラクターなのか…っていう話なんだと思う。
序盤の学校生活とか、トニー・スタークとの会話でピーターがどういった人間なのかよくわかる。15歳によくいる、普通の少年(だと思う)。本当に等身大の15歳。
この映画で大事なのはそこであって、間違っても「MCU(マーベル映画シリーズの世界観)」の中での立ち位置ではない…と思う。

130分観てればわかる。
よく知らない少年が悩んだり、苦しんだり、喜んだり頑張ったり、成長していく。
そこにMCUの知識なんているわけがなかった。
だから、誕生劇を端折ってるというよりは、なくてよかったんだと思う。ピーター・パーカーの私生活を覗く時間が多ければ多いほど、彼がどういう人間なのかよくわかるから。変に説明に時間を割くより、ずっと良かったんだと思う。

そして最後まで頑張るピーターを見届けたら、MCUが好きな人も、まったく知識のない人も、ピーターが頑張ってた!ピーターは成長した!ってことがよくわかる。そこに感動する。
みんな、等身大のヒーローを好きになる!

この映画はMCUの知識があるない関係なく、これまでの史実なんてまったく関係なく、ただただスパイダーマンを見守って、応援する映画だと、私は思う。

だから「スパイダーマン ホームカミング」という映画は、MCUの直線上にある物語ではあるけれど、再始動した新たなスパイダーマンの映画としても、きちんと成り立っているとも思う。

もしも誰かに「スパイダーマンって、他のマーベル映画を観てたほうがいいの?」と聞かれた時、勿論観てた方がずっと楽しめるんだけども、そういうことを思い出して話すと、きっとスパイダーマンの良さが伝わるんじゃないかな、と思った。

スパイダーマン ホームカミング、めちゃくちゃ面白かったし、とんでもなくいい映画でした。
松本

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