koumei

スパイダーマン:ホームカミングのkoumeiのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

スパイダーマンを知ってる人ほどああこれはこのシーンのパロディか、とわかる話になっている。
そしてアベンジャーズ好きにはたまらない、あらゆるヒーローが出てくるから、アイアンマンのトニー・スタークから直々の後継者として指名されるシーンは熱い。
以下、評論的視点での発見。
ハリウッド映画の死と再生を描いたララランドに象徴されるように、映画という媒体は死につつある。
だからこそ、映画の復活を次の若者に期待したい。
だから、トニースタークから高校生への後継者問題を描いた、つまり中年のオヤジから若者にバトンタッチする話にしたのだと思う。
あと、アメリカは基本的にカップル文化だから、恋愛至上主義なのに、この作品では恋愛より正義を選んでいるのが面白い。
今回驚いたのは、勧善懲悪を好むハリウッドが、敵にも敵の事情がある、という忖度をしていたところ。
敵は悪いやつなんだけど悪いと割り切れない感じと、スパイダーマンはヒーローなのに街を荒らす悪者、という描き方は、無敵超人ザンボット3を彷彿とさせるというか、富野由悠季節が炸裂していた。
…まあ日本からすると、30年遅れてやっと富野に追いついてきたのか、という感じたけど、敗戦国日本だからこそのアドバンテージを、ハリウッドに完全に取られた感がある。
ただ、オタクなのに肉体はマッチョ、というのが、マッチョイズムを完全に捨てきれていない感じがした。
マッチョイズムから脱却しても、それは所詮メンタルが弱いだけで、肉体はマッチョなことから離れられないあたりが、無印のドラゴンボールやワンピースなど日本を代表するアニメコンテンツの完全な脱マッチョイズム、倒錯した身体まではさすがに描けないよな、と思った。
でも想像以上に楽しめた。
スパイダーマンは舐めたらあかんな。
日本のオタクカルチャーは、今マジでハリウッドに奪われようとしている、という危機感を感じた。
koumei

koumei