サップリン

疑惑のチャンピオンのサップリンのレビュー・感想・評価

疑惑のチャンピオン(2015年製作の映画)
3.7
マイヨ・ジョーヌへの並々ならぬ歪んだ執念

ガンを乗り越えて1999年から2005年まで
「ツール・ド・フランス」を
7連覇したスーパースター
ランス・アームストロングの
ドーピング問題を淡々と描く

「ウルフ・オブ・ツール・ド・フランス」
もしくは
「フランスで一番悪い奴ら」

「勝ちたい!」という一心
自己顕示欲のみで突き進む
アームストロング個人だけでなく
それを取り巻くロードレース業界の
様々な思惑も絡み合い根が深い問題

もちろんドーピング関連の
やっていることはクズそのものなんだけど
その裏で必死で乗り越えてきたであろう
過酷な練習については描かれない

若年性の精巣ガンから脳や肺に転移しながらの
奇跡の生還やリハビリの類についても描かれない

サンデー・タイムズ紙の
ディビッド・ウォルシュの
ノンフィクションが原案だからか

アームストロングの心情描写は描かれない…
アームストロングへの愛も微塵もない…

決して美談にせず
徹底的に一方的に描く

エンターテイメント要素も極めて薄い

途中入るレースシーンがもっと観たかったが
この映画の目的は決してそこではないのだろう

そしてロードレース界だけでなく
スポーツ界全体に燻る闇をも想起せざるを得ない

そしてその闇は決して過去のものでも
遠い異国の地だけの話ではなく
現在進行形であり
今なお至るところにある話なのだと思う…


余談として…劇中話題になる
アームストロングの半生を描く映画の件で
マット・デイモンが話題にのぼるが
マット・デイモンのソックリさんがいる!

急な大物ゲスト登場にもびっくり!



「サクリファイス」映画化しないかなぁ〜
最低の出来になるのは怖いけど…