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COP CAR コップ・カーのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

COP CAR コップ・カー(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

TVでやっていたので再見。

「子供がパトカーを盗んだら、持ち主が悪徳警官だった~」という話。

パトカーが大人や大人社会のメタファーになっていて、子供達は好奇心からパトカーに乗り込むことで、大人の世界の楽しさと恐ろしさを味わう事になる。
「子供の目から見た大人の恐ろしさ」というのは、スパイダーマンにも通じるジョン・ワッツ監督の共通したテーマと言えるだろう。

車を乗り回したり、銃を振り回したりと、子供達の姿は危なっかしいが、同時に無邪気な痛快さもあって、良くも悪くもハラハラしてしまう。
この作品は、こういった対比的な見せ方が非常に上手い。

例えば、ケビン・ベーコンが車のカギを靴紐で開けるシーン。
あんな乱暴な男にも関わらず、ミニマルなアクションでイライラとさせる意外性。
このギャップがあればこそ、あのシーンは深く心に残るのではないだろうか。

前半の楽しいパトカー遊びから一転、後半は大人達の邪悪さ、汚さ、欲望を子供達は目撃してしまう。
だが、ここでも対比的に描かれるのは、子供達の純粋さ、美しさ、献身だ。
負傷した友の為に、覚悟を決めてアクセルを踏む込む…本作はそんな子供達の成長物語でもある。

建物がまるでない荒野が舞台になっていたり、登場人物や情報が極端に少なかったりと、どこか抽象的で寓話的な世界観も魅力的。
決して、大きな作品ではないが、小さな作品だからこそ、心の中でそっと愛でていたい作品である。
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