えいがドゥロヴァウ

ザ・サークルのえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

ザ・サークル(2017年製作の映画)
3.2
予測範囲内でしかありませんでした

原作を読んだうえで言えるのは
この映画はSNS時代のど真ん中に生きている人間が作った作品では確実にないということ
個人の"透明化"ープライバシーの解放というのを
本作はあくまでもSNS社会がもたらす危険性として描き、警鐘を鳴らします
主人公メイの幼馴染であるマーサーが作った鹿の角のシャンデリアの写真を
メイが無断でシェアしたことに対するフォロワーの反応に関して
映画では"鹿殺し"だのと言われて脅迫を受けているマーサーの状況が描かれていましたが
このように、ソーシャルネットワークにおける対人関係の脅威を物理的・身体的な脅威に還元するという描写を選択した本作は
そもそもこの題材を扱える土俵にすら立てていないように思えました

今の時代において、こういったSNSが国家権力を凌駕する力を有するということを示唆する映画に対して個人的に求めるのは
権力者のエゴによって形成されたディストピアなどではなく
社会貢献、ひいてはコミュニケーションや個人の興味や好奇心を保障するインフラを形成せんとする
ある種の純粋で陽気な"善意"が
結果的に抜き差しならぬ(その当事者すらもが自覚しえないような)ディストピアを生み出すという
そのさまであり滑稽さであるのです