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恐怖ノ白魔人のjonajonaのレビュー・感想・評価

恐怖ノ白魔人(2014年製作の映画)
3.7
何の話か予測もつかない出だし5分ほどの展開が面白くてよくできてる。惹きつけられる。その後は知らん。いや、その後も面白いぞこれ。何でこんな評判悪いのかな?

DV親父がテレビ見ながら無言でグラスの氷をカランカランと傾けて、台所にいる妻に『酒!おかわり!』を注文するのマジでDV野郎感ある間接描写で素晴らしい。こういうちょっとした良いシーンが多い。
学校の先生のおばさんが声と顔の迫力が凄くてこわい。カンベーール‼︎てあのしゃがれ声。急にティーンものの爽やかな出だしになっててびっくり。絵に描いたような草原を友人達と居残り抜け出して走って、真ん中で煙草吸うなんて。ガキが平然とひとんちの納屋焼こうとするし、見つけたジジイはガキ殺そうとするし、やり返して平気でガキ斧振り上げるし、おふざけで友達に小便かけるしそれを笑って済まして喧嘩にならないし、治安悪くないかこの地方…
でも映像は自然に溢れててずっとスタンドバイミー感がある。湖、草原、山と森。
子供が主役で思いの外青春映画なのが良かった。どこかで仕入れてきたジョークを言ってみて、あーもうそれ知ってる別の言えよみたいなのあったな。それ無くしたら母さんに怒られる、とか服がダサいとか言われるとお母さんが買ったんだとか言ってマザコン野郎と誹りを受けるのもあったような気がする。懐かしい…
あと絶対こういうメンツの中に気管支弱くて呼吸器使ってる子いるよね。ちゃんと押さえてて偉い。
もう使われてない廃墟と化した昔のブラックウッズという撮影所がエモすぎる。こんな廃墟友達と歩くの夢だろう。オンボロ船に乗っかって撮影所見下ろすカット好き。

後半の展開がちょっとうーんてところは確かにあるものの、全体的に悪くない。
主人公の親夫婦の対処法がすげえイライラした。家に不審者侵入してたら警察呼ぶだけじゃなくてまず子供達全員集めて逃げなさい!戦おうとしたり離れ離れに動いて索敵しようとするな!バカ!ああもう!笑
あと青春ものらしく子供達がモンスターに立ち向かう流れで進んでほしかったな。結局家族対モンスターに収まっていったので何の映画なのかジャンルが散り散りなのは否めない。
最後の最後まで白魔人の全貌を引っ張りに引っ張ったのはイマイチだなあと思った。その為に彼が大暴れする描写が最後までお預けになり前振り描写だけに終始してバイオレンスがなかったわけで。白魔人のビジュアルも割と普通だしね。ちんこの形はすげえキモかったけど。これまで映画で見たちんこの中で1番やばい形してた、あんなのあるのか…?
動きが動物的で不気味で動いてるから殴る、体のどこを壊すと完全に壊れるかやりながら勉強してる感じが気色悪くて素晴らしかった。
けどまあ、お父さんによっかかったキャラなので悪党としてそこまで傑出してない所が歯痒い。結局父親が生きてればまた似たようなのが生まれる…みたいな話?それだと白魔人自体の怖さは半減しちゃうよな。


【ホラー描写甲】ネタバレあり

(少年の部屋にて、ベビーシッターと)
ーほんとなんだ。
ーマネキンと見間違えたのよ、子供の頃は怖がるから。
ーもう大人だよ。
ー(フッ)でも部屋にぬいぐるみが?
見てよ、犬、クマ、トラ、ピエロ…
ーピエロ?
(山のように積まれた部屋の中のぬいぐるみにひとつだけ不気味なピエロの仮面が埋もれている)
ー…僕のじゃない。
(不穏な気配。ベビーシッターも流石に違和感に表情が曇る。固定電話の呼び音が鳴ってる。階下に降りて2人で番号を確認するとベビーシッターの携帯電話。机の上に置いている自分の携帯がなくなってることに気付き彼女と少年は戦慄する。)

(妹ちゃんが『ベット下に生き物がいるの』と言うので眠い母は『小さい虫はあなたを食べないわよ』と去なす、妹ちゃんは『でもこの子わたしより大きいわ』と言うので、ん?と思い確認したが案の定下には何も居ない。夫婦の寝室に帰ってきてベットに腰掛け、横で眠る彼氏の布団の膨らみに声をかける)
ーまったく、あの子まで私に嘘をつくわ。
(予想に反して隣の膨らみではなく扉を開けて入ってきた彼氏が笑いながら声をかける)
ーへえ、なんて言ってたの?
(は?と思った妻がじゃあ横の膨らみは…?と振り返ると膨らみが動き出し起きあがろうとする。瞬時に異常に気付きとっさに立ち上がり寝室を飛び出る妻。察知し旦那も爪を引っ張る。瞬間2人の肩腰に起き上がる布団に覆われた巨体が見えて扉が閉まる。)
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