おとうちゃん

或る終焉のおとうちゃんのレビュー・感想・評価

或る終焉(2015年製作の映画)
3.8
生老病死...避けて通れない4つの苦悩を静かに描いた衝撃作!

介護を生活の糧にしているため、死と向かい合う機会が少なくない私め...こういう映画を観てレビューするのは勇気が必要です。

崇高なる献身愛で患者と向き合う看護師デヴィット(ティム・ロス)の葛藤。孤独な看護師は尊い命にどう向き合うのか!?

介護シーンでの観客向けに多少のオーバーアクションは置いといて...
安楽な姿勢を保つときのクッションの置き方。安心の声掛け。
ボディメカニクスを熟知しているかのような身体介護のテクニック。
リハビリの時の力の入れ方、細かい手の動き、目線までもきちんと勉強している。
大物になっても役作りの下ごしらえを決して怠らない。派手さはないが隙のない“柔の演技”。
これがティム・ロスの名優たる由縁。
むしろ、私めが勉強になりました(^-^ゞ

あまりにも現実離れしていてハマれなかった『最〇のふたり』とは違い、この映画は在宅看護の現実を赤裸々に描いています。

生きていくのが 生きているより辛いとき...
「尊厳死」については私めには否定できません。

ただ ひとつ言えることは「それを判断して実行するのは ひとりの看護師ではない」ということ...ましては他人が個人の判断で実行したら確実に殺人です。

今年1番、驚愕のラストは 戒めに思えてなりません。

ちなみに終末ケアについては、私めが突然病気になったり 年老いたりした時の自分を、客観的に判断できる 今のうちに娘には しっかり意思表示してあります。