或る終焉の作品情報・感想・評価

「或る終焉」に投稿された感想・評価

さくら

さくらの感想・評価

4.0
色々な人生。
主人公は多くの出来事が積み重なった道を歩みながら、彼のヘルパーという仕事を通じてさらに広がる人生というドラマ。

静かに死を待つ者、死にたいと願う者。様々な死生観に囲まれ、自身のタイトロープを綱渡りするかのような病的なスリリングさ。

それでも、結局運命には逆らえないという皮肉が強烈で、強い虚しさに襲われる作品でした。
悲しくて暗い物語だけれど、とてもとても美しい映画だった。長回しでも飽きさせないカメラワーク、敢えてミスリードを誘うような脚本、世界を美しく感じさせる光の使い方や環境音。画面越しにじいと他人の人生を覗き見るような、時間の流れがゆったりとした映画は好きだ。鮮やかな木々や草花、鳥の鳴き声や街の喧騒などがとても印象的で、心地よい。でもそれは、誰かが死んでいなくなっても世界は変わらず在り続けるというメッセージにも取れて、なんだか切なくなってしまった。


終末期患者のケアというのは本当に尊い仕事だなと思う。生い立ちも人柄も知らない相手を突然目の前にして献身的に世話をするだなんて誰にでも出来ることじゃあない。それでも互いに長い時間を過ごして、信頼関係を結んで、そこに血の繋がった家族以上の絆が生まれることはごく自然なことにも思えるけれど、家族としては終わりへと近づいていく身内の世話を他人に任せる後ろめたさがあるのだろう、時にそうした看護師(介護士)を疎ましく思い、遠ざけてしまう気持ちも分からなくはない。ましてデヴィッドは常に空虚なオーラをまとい、喪失感を埋めるかのように看護を行うが、その姿はどこか病的ですらあるのだ。それでもやはり患者を一人の人間として尊重しながら最期まで送り届けようとする姿は誰よりも立派に思える。彼の選択は正しかったのか? 答えは誰にだって分からない。



ずいぶん昔に亡くなった母が、死にたくないと泣いていた日の事を思い出した。デヴィッドのように手を握って、抱き締めて、全てを受け止めてくれるような人がそばにいれば母も救われただろうに、私は良い娘になれなかったなあ。
Aika

Aikaの感想・評価

3.8
エンドロール含め一切劇伴はなく、台詞も最低限。深く立ち入ることを許さないようなカメラワークで、末期患者のケアをする看護師デヴィッドの日常が淡々と流れていく。

彼の患者への異常なまでの献身性は、自分が第三者の立場なら気味が悪くてクビにしてしまうかもしれない。でも自分が看護される側だったら、こんな人がいいなと思う私がいた。それがたとえ自分の内なる喪失を埋めるためであったとしても。

死は自分や周りが望む通りにはならない。でも必ず平等にやってくるもの。
それを誰よりもわかっているデヴィッドだからこそ、最期まで自分で選択したのかもしれない。
どちらにしろ、彼のこころが無事安息の地にたどり着きますように。
ミシェル・フランコで一番衝撃作

しばらく動けなくなりました。

終末期医療のお話なので、死は身近であり、それを嘆いたり驚いたりするわけではないのですが…

ただただ凄い作品。
瞬きを忘れます。



デヴィッド(ティム・ロス)は、終末期患者の看護師。

やり過ぎに思える程に、親身に接し、彼等を支えている。
それ故、セクハラで訴えられることも。

それは、息子を亡くしたからなのか……

ある日デヴィッドは、末期ガン患者マーサを担当することに。
しかし、彼女は尊厳死を望んでいて…



自分の家族以上に親身に、病的なまでに患者に寄り添うデヴィッド。

一体何故、そこまでするのか?
そして、それが招いた結末とは??

冒頭辺りは、やはりハネケに似た雰囲気を感じました☆
『愛、アムール』ですね。
どちらもですが、看護される側の役者さんが、とてつもなく上手い。

が、その先はもうミシェル・フランコなワールド!
いつものようにBGMは無く、生活音がリアルに響き、無言の間が心地好い。

そしてぶち込まれる衝撃の展開…

これはしばらく立ち直れなくなりそうです。
yoruichi

yoruichiの感想・評価

4.0
主人公の男の背景が不明のまま 話しが進むため 男に執着させられる。男を知ろうとする気持ちは 男が患者に執着するのと同じ。喪失感からくる心の穴を埋めるため のめり込む。男には 虚無感しか無かったけど。
『父〜』『母〜』そしてこれ。素晴らしく一貫したミシェルフランコの様式美を俺は見届けた。
ギャグである。
このやり方ならシャマランみたいにネタ切れにはならないだろう。今後も続けてほしい。
エンドロールでの反応は人それぞれ、驚く、笑う、怒る、俺は「驚きからのニヤつき」だったけど、その反応の根本には何があるか、「緊張からの緩和」にほかならない。重く暗いテーマからの刹那、突然の解放。大オチを控えた長い長いコントなのだ。映画作品の評価は最後の1秒、1カットまでどうなるかわからない。俺の持論。
結果、ギャグである。
"no music no life"の体現者(超てきとー)、ミシェルフランコを応援しよう!
終末介護の患者の顔面、ことごとく良かったなぁ。こだわりが凄い。
Moomin

Moominの感想・評価

3.7
なにかもの凄いものを観た気分
主人公デヴィッドは、終末患者を看護するものである。 ただ坦々と、延々と、看護する姿が映し出される。それもとにかくずっと。そこに退屈になってしまった自分も正直いるが、死に関わる仕事の重きをずしずしと感じさせてくる。
彼は家族同然、又は家族の垣根を越えるほどの愛を持って患者と接する。それがゆえ死を望む患者と出会ったときは……
とにかくゆっくりでうとっとくるかもしれないけれど、「世界を驚愕させたラスト」。それは間違いない。エンドロール中も中々頭の中で整理がつかなかった作品。
P.S.延々とゆっくり見えたのは多分カメラ固定が凄い多かったからかな
淡々と仕事をしてるだけに見えるけど、
心は寄り添ってるんだな。
まるで家族のように。

自分はどうやって死ぬんだろな、
こうやって寄り添ってくれるひとがいるだろうか…
と思いながら観てたら横っ面はたかれるような衝撃。

自分の人生の尺っていつ決まるんだろうか…
ヒルコ

ヒルコの感想・評価

3.0
死とは、そして、幾度も死に向かい合うとは、みたいな事。
もちろんそれは簡単に説明がつくものでもないし、心に溜まる澱のようなものを表現するのは難しい。
それを逆手にとってかどうか、モノローグもなしBGMもなしの強気構成。
ウトウトしかけた時にあのシーンで、本当に心臓が飛び上がった。
「絶対に訪れるものとしての死」は、その方法を選ぶことができるのか。または否か。
マト

マトの感想・評価

3.7
多くを語らない系。淡々&黙々と物語は進むがカメラワークの面白さもあって不思議と見入ってしまう。
ティム・ロスのテキパキとした介護の所作が美しい。彼の抱える孤独と苦悩。その苦悩ゆえに患者に寄り添いすぎてしまうのか。
ちょっと眠くなって画面ぼーっと眺めてたら不意打ちくらって一気に目が冴えた。
>|