ろく

悲しき玩具 伸子先生の気まぐれのろくのレビュー・感想・評価

2.9
城定が珍しく「性」に真正面から取り組んだ作品かと思うんだけど(いつもそれ以外が多い。そこが好きなんだけど)、うん、いまいち乗り切れず。すまんピンク映画でエロ全面に出されても困るだけなんだよ(すまん、僕だけかもしれないけど)。

話はマジメな女教師、古川といじめられっ子の生徒の話。古川はマジメを装っているがすべてに飽きていて(それは恋愛でも)もう「気持ち悪い」とついつい裏でいっちゃう。で、少年は少年で純真無垢なんだけど、古川が少年を玩具にしていやらしいことをするって話。

そう、それってよくある話だからどうも定型の収まってしまってないかいというのが僕の不満。こんな話はずっと前から山本直樹も書いていたし(たしかフラグメント)、よしもとよしともも「好き好きマゾ先生」では男女別だけど同じような感じを描いていた。そもそも名作「昼顔」だってそんな感じじゃないかい。あ、「チャタレイ夫人」もね。

でそこにエロ映画ながらのエロシーンを多く入れて……すまん、退屈だった。水準ではあるんだけどもっと心が裂けるような映画を期待していたのだよ。ただ職人なんでところどころは納得するの。城定は細部が上手だからそこそこ観ていられる。最後なんかなんだかんだで納得してしまったし。

古川は「悦楽交差点」に続き2作目の鑑賞になるけど(たしかこっちのが先にとられた)演技は悪くない。吉沢明歩よりは全然いい。最後近くの土手のシーンなんか妙に可愛くて困ってしまった(何をだ)。美保純みたいになったらいいのになぁ。

ところどころ石川啄木の短歌が挿入される。そして題名も「悲しき玩具」ここらへんの言葉使いは上手い。一本。
ろく

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