天下の超かぼちゃ王大将軍

ヴィジットの天下の超かぼちゃ王大将軍のレビュー・感想・評価

ヴィジット(2015年製作の映画)
3.5
「シャマランの幸と不幸と」

映画を観た後、まずこう思った。

「シャマランなら、これは悪くない、と」

けれどこうも思った。

「シャマラン映画としては、若干の物足りなさはあるのかもなぁ。」

その後、こう思った。

「じゃ、この映画、シャマランじゃなかったらどうだろう」

・・・分からん。

「ホラー映画として悪く無い出来だ」

と言いたい自分と、

「本当か?別の監督が撮ったとして、自分はこの映画を"アタリ"と思えるか?」

という自分。

・・・答えが出ない。
と言うか、シャマラン・フィルターを外そうと思っても外れないのだ!

なんてこったい。私はこの映画が本当に面白いのかどうか、言葉に出来ない!

・・・しかし、これがシャマランなのかもしれない。

シャマランはシックス・センスという強烈なインパクトを残し、
そこで多くのファンを獲得したわけで。

しかし、それ以降、シックス・センスの影響か、
「オチ」を求められ、「え?その話、どこがオチなんw」「そのオチ、オモンナww」
と、関西に来たての関東人バリに弄られまくる事が長年続き、
最終的に発狂してSF映画を撮り出した。

シックス・センス、シックス・センス、セックス・シンス、シックス・センス・・・

何を作ってもシックス・センスを持ち出され、シックス・センスと比較される。

これはシャマランにとって、大いなる不幸でもあったと思うし、
後の迷走の原因でもあったんじゃないかと思う。

しかし、ここで妙な事が起きる。

弄られ続けて、愛され始めるのである。

そう、山崎邦正のように。

あの手この手で名誉を回復しようと責めるシャマラン。
しかし、どこか普通とはズレたアプローチに、
「なんぞコレww」とツボに入って世代がいる。

シックス・センスを崇める厨を第一次シャマラン世代とすれば、
第二次シャマラン世代である。

彼らはシャマランの全てを包み込み、受け入れ、消化する。

そう、山崎邦正を見る目と同じように。

何をやっても赦される。これはシャマランの幸。

けれどシャマランは迷走を始める。

その場所に納得いかないのか、いきなりSF映画やファンタジー映画を撮り始めるのだ。
誰も望んでいないのに。

そう、いきなり落語家に転身した山崎邦正に!

・・・しかし、彼は帰ってくる。

元の場所へ・・・そう、今年も大みそかの笑ってはいけないシリーズに。

おかえり、山ちゃん・・・。

・・・

・・・

・・・

あれ?なんで山崎邦正の話をしてんの?

せや、ヴィジットのレビューや。思い出した。

私は第二世代なんで、むしろシックス・センスあんま好きじゃないんでね、
割とその後のシャマランの迷走ぶりが好きなのと、ハプニングは結構好きなんですよね。
ま、ホラーファンですからね。

そういう観点から観てしまうと、
正直、ホラー的な映画をシャマランが撮ったら無条件に受け入れてしまいますよね。

まぁ、なかなか深さはありそうで無さそうでありそうで、多分無い。

ただ、題材的には面白く、
例えば怖い話の舞台での定番で、帰省した時の話があったりします。

祖父母の家に行ったら、こんな怖い事が起きたってね。

普段の生活とは違う空間に放り込まれ、
そこが心地よいとともに、どこか不気味な感じを、子供心は感じるのかもしれません。

感じてたのかもしれません。

私も祖父母の家の探検とか、まぁしますよね。

未知だからこそ楽しい反面、どこか怖さもあった気もします。

本作は、もしかしたらそういう感覚が世界共通で、
そこが出発点として描かれたのかもしれませんね。

もし、祖父母が・・・ってね。

モキュメンタリーというトレンドに流されちゃったかなぁと思いつつも、
シャマラン独特のセンス、怖いのか怖く無いのか、
よく考えたら、ババァが荒ぶって、爺が脱○してるだけっていうね。

それをよくも不気味っぽく描きます。

オチもなかなか面白い反面、
シックス・センス厨はどう思うかな、また叩かれるかなって思う所もあります。

捻りはあっても、素直な変化球でしたね。

でも個人的に、あんまりオチに変化つけ過ぎるより、
テイストで押し切った方が良い味出る気がします。シャマラン。

けどこれ、シャマランがこれまで積み重ねた映画の上にあるものの気もしてて、
最初に述べた通り、じゃぁホラー映画として特筆して上手かったか、と言えば、
・・・微妙な気もせんでもないw

例えば、ディスカスでジャケでレンタルして、
深夜にこれ見たら、「まぁ悪くないけど、普通かね」で終ってる気がしなくもないというか、そんな気しかしないw

ビッチな母親と、いちいちカンに触るガキどもが、
不自然にビデオカメラ回して、アングルもわざとらしいし、
モキュメンタリーっぽさの欠片も無い。

ただでさえ酷評されるモキュメンタリー。
まず間違いなく、シャマランじゃなかったら、
★2点台つけられてそうな気もしなくもない。

けれど、妙な味はあるし、シャマランという前提であれば、
やはり最初の感想にある、「シャマランなら、これは悪くない」になるんよねぇ。

そこである考えに落ち着く。

もしかして、シャマランってヘタウマなんじゃないか、と。

正直、不味い。けど、病みつきになる旨さがある。

ん~、どうなんだろ、また賛否両論になって、
★3.0強くらいをウロウロすんのかなぁと思いつつ、
なんかそうなったらイイなとニヤニヤが止まらなから、
やっぱりシャマラン、おかえり、なのかもしれない一品。

長々失礼。