中盤でソヴィエトの最高権力者たちの名前を写真と共に１０分以上延々映し続けるところで、いつまで続くんだ・・・？？と、冷や汗をかいた。

ソクーロフのドキュメンタリー作品を初めて観た。エレジーシリーズの一つ。ロズニツァ作品を観る前の予習のつもりで観たが、ひどく退屈な作品でもある。
1989年制作の作品で今は亡きエリツィンをフォーカスしている。映像を見る限りおそらく冬だが、エリツィンが政界復帰する以前か以後かはわからない、しかしおそらく政界復帰前だろう。エリツィンの父親がラーゲリに送られていたことを初めて知った。
映像が墓場から始まるのは興味深い。何の暗喩だろうか。そこまで意図していたのかはわからないが、墓に彫られた碑銘や碑文は読み取れなかった。スタージョンの短編を思い出した。ソクーロフは1991年に起きた出来事がそう遠くないということを、撮影当時エリツィン越しに見ていたのだろうか。
作品の3分の1を占めるのは、100人を超えるソ連の歴代指導者の顔のモンタージュである。10分以上にわたりソ連の指導者の顔が映し出される（９割誰だかわからなかった）。一人ひとりの名前をおそらくソクーロフ自身が読み上げていくのだが、後半疲れてきたのかため息が漏れていたのがめちゃくちゃ面白かった。
この作品の2年後にソ連が崩壊し、ロシア連邦の初代大統領となる彼であるが、映像を見る限りではどこにでもありそうなコムナルカに住み、どこにでもいそうなおっさんだった。
コムナルカでゴルバチョフの演説をテレビで見るエリツィン。その後にはいつの時代かはわからない、しかしおそらくその年代はおそらく重要ではなく、群衆の顔が映し出される。
群衆の顔を挟み、エリツィンは暗い部屋の中で一人頭を抱え続ける。このエリツィンが頭をかかえる映像が、この作品のおよそもう3分の1を占めている。彼の哀感と寂寥感が半端ない。懊悩する様がカメラにただ淡々と写されている。