もの語りたがり屋

シン・エヴァンゲリオン劇場版のもの語りたがり屋のレビュー・感想・評価

4.3
庵野秀明補完計画

終わった後膨大な数の関わった人たちの名前が流れるエンドロールを目の当たりにし、最後「終劇」の文字が現れたら、しばし茫然としてしまいどんな感想を言っていいか分からなくなった。それほど25年間のエヴァに幕が閉じたことを実感し感慨深い思いだった。

「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」というコピーの通り、すべてにケジメをつけたラスト。
これまでのエヴァンゲリオンシリーズをどういう思いでつくってきたかの総まとめであり集大成。登場人物たちの存在の真実が語られる。まさに完結編。これまでのテレビ版、旧劇場版も回収した内容になっている。

庵野秀明がなにを思いどう苦悩して創り上げてきたかを絞り出し代弁しているようだった。まさに庵野秀明監督の思考や感情や人柄…人生すべてが滲み出ている作品。

一言で言い表すのは難しすぎるが、人間の弱さに手を差し伸べたレクイエムだったように感じる。

前半これまでのエヴァンゲリオンらしからぬのどかな日常が描かれる。コロナ禍でも浮き彫りとなった、生きていくうえで本当に大切なことを伝えてくれている。
「おやすみ」「おはよう」「さようなら」「ありがとう」ってなに?の答えには心掴まれる。

分かりやすくストレートに伝えてくれている部分もあったが、やはり難解なメッセージも多く一度では理解できなかったためまたじっくり観返したい。

それと、タイトルの最後に付けられている楽譜記号が終止線ではなく反復記号なのは、人類補完計画の通り歪になってきてしまっている世の中を再構築して、本当に必要なものを復興させる意味があるのか。(ループ説もあるようだが…)

とにかく、日本のアニメ界どころか、世界の映画界、エンタメ界の伝説に残り続ける作品であることは間違いない。