ロバートクレイマーは風景（情景）を撮る天才なんじゃないだろうか。序盤の見つめあう二人の後ろに捉えられるマジックアワー！のカットすげえ。暗闇、線路、海、空、自然（草，風）、無機物と数々の描写を「間＝時間」や「情」の役割として差し込んでいる。特に序盤の情景が印象的でたんに風景として“撮るだけ”ではなく、人を撮ろうとしているのでそれが情景になっている（表現になっている）。黒人と少女？が出会うシーンの緊張感と、ラストの爆発シーン（内戦）にビビった。傑作！

フランス語わからないし字幕もないDVDで見たけども、これは大傑作。
黒人のアスリートの父親と、ﾊｰﾌの娘が、それぞれ別々にヨーロッパを東に向かって旅をするロードムービー。

たびたび挿入される寒々とした欧州の風景のｶｯﾄが兎に角、良い。絵葉書的な綺麗なショットではないものの、言語化出来ない凄みがある。ただ目についたものを撮ってるだけなんだろうが、多分特殊な才能というか視点がないとこれは撮れないのでは？

旅中、ドラッグ、AIDSだの90年代の欧州の問題を浮き彫りにしていく過程はいかにもクレイマーらしいが、その社会性と主人公達の世界を発見して行くパーソナルな部分が両立した作品。

撮り方は全然違うが、アンゲロプロスを思い出す。父が欧州の東に行きつくと内戦に出くわすﾗｽﾄ、爆弾で目の前で死ぬ少女のｶｯﾄが凄かった。

また、冒頭の少女と母親が分かれるｶｯﾄも良かった。大胆に逆光をカメラに収めるのはクレイマー的。

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