再婚した妻の子どもが不慮の事故に遭い、葬式までの三日間の出来事。原題の『God's pocket』は、地方新聞のコラムの題名。
田舎の狭いコミュニティでの地味目な話を、達者な役者でやる作品は大好物。
縁起が悪い黄色のシャツをなぜか着続ける主役のフィリップ・シーモア・ホフマンからして、いったい何の仕事してるかわからず見るほどに駄目だこの親父…となる。他にも裏稼業をしてる花屋の夫婦や、怪力過ぎる息子の仕事場の現場監督など癖のあるひとが一杯。
そんな中でも、60を越えてなお女とヤりたい盛りのコラムニストを演じたリチャード・ジェンキンスのキモさが限界突破してた。電話しながら毛布をずらす仕草、服をさわりながら太股の奥へ手を滑らせる仕草、物欲しそうに女性を見上げる顔の角度・・思い出すだけでキモキモキモくて最高だ。
電球が切れてもほったらかしにしたり、葬儀社の外に遺体を出しっぱなしにしてたりと、そのダメさ加減が次第に笑えてきてしまうオフビートな笑いは三木聡作品を思わせる。
終盤、夫婦別の場所で見上げた空にせつなさがにじんだ。