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ニーナ・シモン 魂の歌のmmmuのレビュー・感想・評価

ニーナ・シモン 魂の歌(2015年製作の映画)
4.2
ニーナ・シモンの人生を追うドキュメンタリーだけど、音楽映画としてもすごくよくできていた(多分曲がめちゃくちゃいいから) 『ボージャック・ホースマン』でもエンディングに使われているエピソードがあるんだけど(3-12) ニーナ自身も「race horse(競走馬)のようだ」と言われていた "What happened, Miss Simon?"(ミス・シモンに何が起こったの?)という原題はマヤ・アンジェロウのエッセイから来ているみたいでこっちも読みたい。
『サマー・オブ・ソウル』でみたニーナ・シモンの曲と姿がとても良かったのでこっちを見てみたんだけど、一部そのカルチュラル・フェスティバルの映像が使われていた。"Are you ready to smash white things, to burn buildings, are you ready?”という挑戦的な曲を歌った頃はまさに公民権運動のただなか「政治的な歌しか歌わなくなった」ときで、ニーナを殴っていた夫は過激派に傾倒しはじめた的なことを言うんだけど、その夫がニーナに「音楽がお前の武器だ」と言ったらしいのもまた印象に残る アラバマ州のヘイトクライムで教会が燃やされて子供が亡くなった事件の後に歌った"Mississippi Goddam"の歌詞「誰もが知っているミシシッピ」はエメット・ティルのことだよね
才能のある黒人女性として南部に生まれ孤独が強調されていて、キャリアの後半では躁鬱病の診断を受け薬を飲みながらも音楽を続けるところは駆け足だったのでもうちょっと知りたかった
娘のリサ・シモン・ケリーがでて色々話してるんだけど、父親は言わずもがな不安定な母親からも暴力を受けたことがあって複雑なんだろうけど一番幼少期の思い出を話す頃の笑顔が印象的だった
「政治的な曲」というよりは、本人も言っていたけど必要に駆られて歌った曲なんだなぁと思ったし彼女の曲につきまとうそういう悲しさが人の心をうったんだなぁというのも良くわかる。ドキュメンタリーにしては重いかもしれないが良かった。
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