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僕らの世界が交わるまでのmmmuのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
3.9

地味だけどすごくいい。母息子のファミリードラマ。メロドラマに傾ききらない抑制の効いた音楽やプロットももよくて、初監督作と思えない、次回作たのしみすぎる (すでにポストプロダクションにはいっているらしい)

『イカとクジラ』でガールフレンドに読んでないカフカの本を「カフカエスクだ」って評して「カフカだからね」と返されていたジェシー・アイゼンバーグの初監督脚本作で、『ゾンビランド』で2度にわたって共演したエマ・ストーンが制作に名を連ねている。

そういう身に覚えのあるノア・バームバック的な思春期の恥ずかしさも盛り込まれつつ、「政治的であること」が中心的なテーマにあるのもよくて、社会運動に熱心でいながら保護対象の親子に入れ込んで権力関係を見失ってしまうエヴリンや、社会運動をわかっていないながら「君のように僕も話したい」と伝えるジギーのまっすぐな眼差し(でも基本はとてもアホな) フィン・ウルフハードもとてもいい。

この映画が行き着くのは、小さな世界に篭らないで、もっと社会のことを考えようよっていうメッセージと、そのためにはまずは身近な他者からかかわって行かなきゃだめだよねっていう結論。その矛盾するような結論を突き放しながらも(エンドロールの曲の使い方は『ソーシャル・ネットワーク』的!) 包み込んで描いているジェシー・アイゼンバーグ端的に言って天才だと思う、作品自体は地味な佳作という感じではあるけどとにかく技巧がひかっている

あと、ドランの『マイ・マザー』とか見直してても思ったけど、自分の車持ってない田舎の学生にとって親の車に乗せてもらえるかどうかは死活問題なんだなと思った だから喧嘩しても車に乗っけてもらうし、運転席と助手席で喧嘩する。
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