ひらり前歯

団地のひらり前歯のネタバレレビュー・内容・結末

団地(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

前情報一切なしでみたら思いもよらぬ展開で夢中になった。トーンは穏やかだが、色々物騒だったり笑えたり緊張感もある。

虐待されている少年に関して、清治が言った「あの子は明日があるのをちゃんと分かってる」という台詞が印象的だった。
分かっていても忘れてしまうことはあるけれど、金属バットを手にした少年にヒナ子が「綺麗な歌やったで」と声をかけたことで少年が自分と明日とを手放さずに済んだ場面ではほっとした。あれ以上の、彼にかけるにふさわしいことばはないと思う。

明日があることが救いになるとは限らないし、下世話なひと、身勝手なひと、どんくさい自分、うだつの上がらない自分、もみくちゃにされて疲弊したり、期待外れと言われて恥ずかしい思いをしたり、悲しかったり悔しかったりしんどいことって本当なくならないけれど、自分にとって何がいちばん大切なのかを分かっていれば、そしてそれを時々ちゃんと思い出させてくれるひとがいれば負けへんのやなと思った。

丸薬ってああやって作るんや、というのと男性の乳首は淘汰されるというのが知られてとても良かった。