カサノヴァを題材にしたチャンバラ映画。女たらしで名を馳せたカサノヴァさん、諜報員説もあるそうで、本作では投獄された弟を助けるためエカテリーナ二世に渡った手紙を盗んでくる使命。 女たち(みんな美人!)を渡り歩いて行くカサノヴァ。その気もないのに無理やり口説いては危機を脱したり、危機に陥ったりするのが楽しい。こんな男に惚れたら大変だハッピーエンドは望めまい。 チャンバラシーンもなかなかの迫力。雪原の逃走などアクション、スピード感もあって良い。チャンバラ映画の面目躍如。ヒッチコック的なサスペンス映画として見ることもできよう。前述の女たちとの関係、手紙(マクガフィン)、逃走など。 指輪が仲間を示す様子は同フレーダ監督の変なマッスル古代史劇「Maciste alla corte del Gran Khan」(61年)でマチステが探し人を指輪で確認する原典かな?あちらは変だったけど。 イタリアがまだまだ統一してない時代の話なので、誰が敵で誰が味方で正義がどこにあるのか難しい。そんな時代の話だからってカサノヴァが正装のときは銀髪カツラ白塗り口紅アイメイク。 カサノヴァ役は初期ヴィットリオ・ガスマン。美男なことには美男、好みではないけど。メイクなし状態のほうがかっこいい。 エリザベータ役(ヒロイン)はマリア・メルカデル。エカテリーナ二世はイヴォンヌ・サンソン。 そしてジャンナ・マリア・カナーレが本作で映画デビュー。フレーダのミューズにしてやがて来るマッスル古代史劇の女王!どう見ても男に見えない男装を脱ぐと脇毛があって驚いた。イタリア映画はまだそういう時代よね(例「苦い米」49年)。