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嫌な女のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

嫌な女(2016年製作の映画)
3.0
石田徹子(吉田羊)は法律事務所に勤務する才媛の弁護士。一流大学を卒業し、ストレートで司法試験に合格、研修中にパートナーを見つけて結婚し…と、絵に描いたような順風満帆な人生を過ごしてきた。しかしその成功とは裏腹に、仕事を得ても、家庭を作っても心は満たされず、むしろ誰かと過ごすことで自分がより一人ぼっちだと感じるような、言いようのない孤独を抱えて生きていた。事務所に相談にくる依頼者にも、どこか突き放したように事務的に仕事をこなしていると思われることも多く、仕事は出来ても温かみがない、と所長の荻原(ラサール石井)に注意されることも度々あった。
ある嵐の日、一人の女性が徹子に弁護を頼みたいと訪ねてくる。女の名前は小谷夏子(木村佳乃)。徹子の従姉である。夏子とは随分長いこと会っていなかったのだが、徹子は昔からこの夏子が苦手だった。「人と同じなんて絶対に嫌!死んでも嫌!」が口癖で、派手で目立ちたがり屋の女。その夏子が婚約破棄で慰謝料を請求されているという。気乗りしないまま徹子は相手の男に会って話を聞くと、夏子が男名義のマンションを自分名義に変えさせようとしたが、それが叶わないとなった途端に婚約破棄を言いだしたらしい。もしかして結婚詐欺?その時夏子は徹子にこう言い放った。「私が本気だったと言えばそれまでよ。心の中なんて誰にもバレないでしょ?」
なんとか男に訴えを取り下げさせたが、夏子は弁護料も支払わずに徹子の前から姿を消してしまう。それ以来、徹子はプライベートでは離婚を切り出され、仕事では失敗続き、あれよあれよという間にツキが落ちていった。荻原所長にも怒られることが続き、落ち込む徹子。そんな時には、事務員のみゆき(永島暎子)が、そっと徹子をフォローしてくれるのだった。
時は過ぎ、再び徹子の前に夏子が現れた。もちろん、今回も特大のトラブル付きだ。図々しくまた解決を頼む夏子の依頼を今度はきっぱり断る徹子だったが、所長が徹子の後輩弁護士の磯崎(中村蒼)を担当させる、と決めたことで、磯崎の指導係の徹子は再び夏子に関わることに。今回の依頼はゴッホの絵画「ひまわり」を200万で売ったのだが、絵を売った男から贋作だから返金をして欲しいと訴えてきたという。やっぱり夏子は夏子だった。
次から次へとトラブルの種をまいては、徹子に後始末をさせていく夏子。しかし、不思議なことに夏子に騙された男たちは、決して夏子を恨んではいなかった。むしろ夏子といると、なんだか自分に希望を持てたんだ、と感謝さえしていた。それでも訴えるのは、みんな夏子にもう一度会いたいから。そんな時、夏子が暴行で警察に捕まったと連絡が入る…。原作に惚れ込んだ黒木瞳が監督で、映画化。
吉田羊と木村佳乃や永島瑛子などの演技は楽しめるけど、演技派俳優の演技を活かす長回しのカメラワークは間延びして、キャラクターの心情が上手く伝わってこない。西川美和監督なら、ちゃんとユーモラスで女たちの群像をリアルに描かけたろうなと、もったいない映画です。
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