【文学論が不足】
アメリカの作家トマス・ウルフは『天使よ、故郷を見よ』などで知られています。彼の才能を発見し、出版にまで至らしめた編集者のマクスウェル・パーキンズ。
優れた作家にとって優れた編集者は、名馬を発見する伯楽のような存在ですが、ふたりの友情と交際を描いているのがこの映画。
ウルフをジュード・ロウ、パーキンズをコリン・ファースと英国人俳優が演じています。
ヘミングウェイやフィッツジェラルドも登場しており、当時のアメリカ文学界の雰囲気も伝わってきます。
ただし、作家の創作の内実に深く入り込んだ映画になり得ているかというと、そうではありません。作家たちの日常生活だとか、編集者とのやりとりなどがメインになっており、それはそれで一見の価値はあるとはいえ、作家としての真価に迫っている映画にまではなり得ていない。
映画というジャンルの限界でしょうか。もっと正面切った文学論があっても良かったでしょうに。