間々田陽紀

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐの間々田陽紀のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます


※映像美、セリフ、音楽、とても素敵な映画でした。敏腕編集者パーキンズと無名の作家トマス・ウルフが肩を組んで屋上からニューヨークの街並みを眺めながら語るシーンは忘れられないシーンとなりました。

パーキンズが《荒野で周囲に狼の吠える声が聞こえる中で、その恐怖から逃れるために物語を話す素晴らしさは、それはまさにこのニューヨークの街中で様々な心の葛藤を抱きながら生きている人たちに小説を届ける事と同じだ》とウルフに話すシーンが最高でした。

この映画の監督はこのシーンを撮るためにこの映画を創ったのではないでしょうか?

※2人の手による作品が出版されるまでの映像は、モノトーンの色調でスポットが当たっている所だけ淡い色彩を帯びていました。
それが本が出版されてからのシーンは全体的に明るい色調にがらりと変わりました。素敵な演出です。

※パーキンスが最初からラストシーンまでずっと家の中でも何処でも帽子を被っていたのが面白かったですね。最後までと思っていたら、最後のウルフからの手紙を読むところで初めて帽子を脱ぎました。

その時のパーキンスの目からは涙が溢れていました。まるで自分自身への重荷がすべて帽子に込められていたようで、なかなかの演出?でした。

※病院でウルフが亡くなった後に病院からパーキンスに手紙が届くシーン、このシナリオにはやられましたね。
間々田陽紀

間々田陽紀