ロアー

ロックスターのロアーのレビュー・感想・評価

ロックスター(2011年製作の映画)
4.3
大学生のJJは歌手になることを夢見ていたが、なかなか心に響く歌が作れず、ただギターをかき鳴らして日々を過ごしていた。
そんなJJを見かねた学食経営者のカターナーは、スターの歌には心の痛みが必要だと助言する。何不自由ない暮らしを自覚したJJは、すでに婚約者がいる学校一の美人ヒールにアプローチを始める。当然、ヒールに振られてしまうも本当の心の痛みが分からずにいたJJだったが、結婚の前に馬鹿な遊びをしたいと言い出したヒールに付き合ううち、段々と2人の関係が変わっていき・・・

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JAIHOのサービススタート当時から、配信最終日にならないと観ない悪い癖がついてしまっているんですが、今回うっかり寝落ちしたので、結局日付が変わった後に慌てて2倍速で観ました(配信終了しても一度再生しておけば最後まで観れる例の裏技で)。

やむをえず倍速で観たにも関わらずボロ泣き。
先日久しぶりに観た「華麗なるギャツビー」並の純愛不倫悲恋映画過ぎて、もうとにかく泣きました。

のほほんとした純情青年が、暴力や逮捕と言った過激なイメージのロックスターになるまでの心情がすごく納得できる描き方をされていて、思わずボロ泣いてしまった感情面でも、ストーリー構成がうまいなと冷静に分析した論理面でも評価したくなる映画でした。最初と最後では主人公JJがまるきり別人のようで、ランビールの演技力の高さも再認識できたし、男優賞W受賞も納得です。

「スターの歌には痛みが必要」と言った学食のおじさんの助言が的を得てるんだけど、これが全ての物語の始まりでもあるので、何気にこのおじさんって重要人物だったな。

打てば響く主人公たち2人の会話がかわいくて、まるで魂の双子のように理解しあえる親友同士になっていくのが、短い描写の中でもスッと伝わってきました。友情から愛に変わったことに先に気づいてしまったのが、結婚間近の彼女の方だったのも切ない。
ヒロインのナルギス・ファクリがホントに美人で、きれいとかわいいと儚さと透明感の全てを兼ね備えた役者さんだったので、後半の衰弱した様子にも説得力があってハラハラしました。

ミュージカル映画ではないんだけど、彼女への心が張り裂けんばかりの気持ちが込めらているので、歌も映画の大事なストーリーの一部になっていたし、曲自体もどれもすごく良くてさすがA.R.ラフマーンの作曲。
傷ついた心の叫びを歌うことでどんどんロックスターとして成功していく狂おしさと、夢を叶えたにも関わらず、名声に反比例してどんどんボロボロになっていくJJの姿が切な過ぎて素晴らしかったです。

彼女の病気のダメ押しも打ちのめしてくる理由だったので、ホントどこまで悲劇のツボを押して主人公たちも観てるこっちも追い詰めてくるのか。でもこういう悲恋って「ロミジュリ」の時代からの定番人気だし、やっぱりこれも"ネガディブ"に惹かれる人間の性なんでしょうか?恋愛映画って苦手なんだけど、こういう感情が揺さぶれられる映画ならもっと観てみたいと思いました。
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