くじら

マーシュランドのくじらのネタバレレビュー・内容・結末

マーシュランド(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 スペインの独裁について興味があり、それが色濃く残った1980年代が舞台という事で視聴。マシューランドは英語で湿地帯、原題La isla mínimaは極小の島という意味だそう。湿地帯の景色を上から撮ったショットや時代背景、事件のスリルなどの描き方が上手かった。

あらすじ
 若い刑事ペドロはフアンとともに2人の姉妹の行方不明事件の捜査にあたることに。しかし捜査中2人の姉妹は生きたまま拷問され強姦されて殺され遺体を遺棄されていた。事件の捜査にあたるうち、他にも祭りの時期に姿を消した少女がいることを他の被害者の恋人から伝えられる。姉妹の親や他の被害者を捜査し、仕事を紹介するチラシとある若い男キニが浮上する。また母親から性行為をする姉妹のフィルムを渡される。フアンはキニと今の彼女を尾行し、狩猟宿にたどり着く。そこへ向かう帽子を被った男性を見たものの後ろから殴られ気を失う。一方でペドロは記者にフィルムについて調査を頼み、そこでフアンの過去について少し話を聞く。フアンは早朝に呼び出され、姉妹の母と今のキニの彼女から狩猟宿で行われた強姦について話を聞く。また帽子の男についてフアンはキニの務める工場の上役?が怪しいと疑うも証拠がなければ捜査できないと言われペドロが怒り出す。ペドロはフアンが暴動が起きた時に少女を撃ち殺したと聞いたと言うとフアンに首を掴まれ強く否定され、相棒を庇ったとお前でも庇っていたと言われる。
 捜査中にセバスチャンという男が浮上し、その男がかつて勤めていたホテルに残された荷物からチラシを発見する。また、狩猟宿の警備員と同じ男だと分かり、警備員の住む小屋へ向かう。そこから逃げ出すセバスチャンを車で追うも雨の中で沼地にハマってしまう。走って追うも銃で撃たれてしまうフアン。ペドロが運ばれていくのを見てフアンはセバスチャンをキニから奪ったナイフで何度も刺し殺し、沼地に落とす。セバスチャンのシトロエンから連れ去られた女性が見つかり、連続殺人事件を解決したペドロはマドリードへ戻れることに。喜ぶペドロとフアンだが酒場にふと捜査に協力してもらった記者を見つけたペドロは記者からフアンが秘密警察に所属していたこと、カラスと呼ばれ1人で100人処理する凄腕だったことを教えられる。
 翌日全て解決だろ?というフアンに納得できない顔のペドロ。

感想
時代背景
 スペインの独裁下でローマカトリック以外の信仰は認められず、弾圧されていたことは知っていたので、今回ペドロがキリストの像を外したり酒を飲まなかったりおそらくイスラム教徒だったけど生活できていたので宗教弾圧が終わった時代なんだなと実感した。
 また被害にあった女の子たちがみなこの街から出たくて仕事を探して被害に遭っていたこと、被害者姉妹の父親が性に奔放だった姉妹を許しそうになかったことも時代や当時のカトリック特有なのかなと思った。
 捜査方法も暴力を振るったり盗聴したりと割と倫理観を欠いていた印象。

バディについて
 若い刑事とベテラン…と最初は慣れていない刑事ペドロが死体を見て吐いたり、遺族に訃報を知らせるのをフアンが買って出たりいい相棒だな〜と思っていたら、キニがペドロに突きつけたナイフをフアンが躊躇いもなくはたき落とし制圧した体術を見たあたりからあれ?と疑い始めて記者からの秘密警察だったという情報が出て納得した。最後犯人を繰り返し刺すのも訓練された動きってだけでなく荒事に相当慣れたヤバい奴なのかなと思った。
 あの後ペドロはどうしたんだろうか?反民主主義だったからと告発して左遷された時のようにフアンについて何か行動するんだろうか?

景色
 景色を撮った映像が多くて、沼地の町の閉塞感や美しさがよく出ていた。鳥がたくさん飛び立つ描写は何か意図するところがあったのかな?あとフアンが倒れた時のカワセミは何の暗示だったんだろ。カワセミは広く幸福の象徴とされるけども、英語圏では外面と内面の二面性を持つみたいな二面性を表す事もあるとは見かけた事があるけど。カワセミはスペイン語だと漁師マルティンって意味になるらしいし、分からない…。
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