残念ながら、期待外れだった。
人気のある黒沢清監督のサスペンススリラーというので期待したのだけれど、、、まあ、言っても同監督作はこれまで「回路」「散歩する侵略者」のニ作しか観てなくて、特別、好きというわけでもないのだけど。
元刑事で犯罪心理学者の西島秀俊が妻の竹内結子とお引っ越ししたら、お隣さんの香川照之がヤバい奴で、とんだ目に遭うというお話。
そもそも謎解きではなく、タイトルやあらすじから想像される以上の驚きの展開もなかった。それでも前半、隣人との新しい付き合い始め云々はけっこう身近な話でもあり、何とも嫌らしい雰囲気がプンプンして、興味深く観られた。騒音おばさんのニュースやらも思い出して、戸建持ち家は何かと大変だなぁと。
「好奇心は猫をも殺す」という英国の諺通り、竹内結子があっさり香川照之に支配されてしまう。一見、妻思いで優しそうに見える西島秀俊がそんな妻の異変にまったく無頓着だったりして、この主人公もなかなかの自己中なんだなぁとさっぱり共感できなかった。
香川照之はてっきり心理的な手法で他人を支配しているのかと思ったら、実は注射打ちまくりというチート⁈で、思ったほどにはキショくなかった。そもそも「ゾンビドラッグ」や「デートレイプドラッグ」みたいな危ないクスリ、どうやってそんな大量に入手しているのだろうかがずっと引っかかってしまった。あんなおあつらえ向きな地下の無響室だってどうしたん。趣味のオーディオのための防音程度ならまだしも、無響室って⁉︎
未読の原作小説ではその辺りの諸々も普通はちゃんと描き込まれていると思う。ディテールの欠落が気になり始めると、小説でも映画でも興醒めしてしまう。まして、映画は時間的制約からどうしてもその傾向が強い。
この手のサスペンススリラーでは名作「羊たちの沈黙」が思い浮かぶ。舞台はやはり米国が似合うんだなぁ。日本は人口密度が高いので、人目を忍んでこの手の犯罪をやるのはなかなか至難に思える。
いや、精神的支配で親族・知人7人をお互いに殺害させた「北九州監禁殺人事件」なんていう身の毛のよだつ出来事も実際にあったわけで、やはり "ヒトコワ" には用心するに越したことはないーーって何の話だ⁈
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