妻を亡くした夫の喪失と再生を描く作品、ではあるけど、夫が愛人を家に招いてヤりまくっちゃうようはダメ男ゆえに、喪失を覚えるまでにラグがあるのが面白い。
この監督が意地悪なのは、妻の喪失を一旦横に置いて、子供との触れ合いを通してダメ男を更生させる展開をフェイントで入れてくるところ。
中盤のとあるシーンで、妻が生前に抱えていた夫への真意を知って「あ、そういえば奥さん亡くなってるんだよなこの人」となって、ようやく喪失と再生に向かうのが中々に変化球だと思った。
「子育ては免罪符」という台詞が象徴的。
他人の子供を育てて、家族という本質に向き合うことでダメ夫としての罪に気付いていくのは、王道のような展開だけど結末の到達点を考えると驚異的な取り戻し方ではある。
罪を匂わせる描写で、浜で子供と遊ぶ深津絵里の幻影が印象的。
なにげに竹原ピストルのハッピーバースデートゥーユーがきける