【あらすじ】
人気作家の津村は、妻がいながら不倫をしていた。ある日、妻が乗っていた観光バスが事故に遭い、死んでしまう。しかし津村は悲しみを感じられずにいた。そんな時、同じ事故で妻を亡くした大宮という男性と知り合う。大宮には中学受験を控える息子と、幼稚園に通う娘がいた。大宮は長距離トラックの運転手で家を空けがちであることから、津村は週2日、子供たちの面倒を見ることになる。初めは四苦八苦だったが、徐々に子供たちと心を通わせるようになる。一方で、あることをきっかけに津村と大宮は仲違いしてしまい…、というストーリー。
【感想】
「妻が死んだ。これっぽっちも泣けなかった。そこから愛しはじめた。」というキャッチに惹かれて鑑賞。やはり本木雅弘の演技力は抜群で、軽薄さや繊細さ、津村という人間の多面的で魅力的な人間性を存分に演じ切っている。また、初めは戸惑いながら、徐々に子育てに慣れていく、という展開は多くの男性に刺さる描写である。どことなくノスタルジックな映像だが、16mmフィルムで撮られていると言う。その映像美が、妻の喪失、というショッキングな出来事に対して、センチメンタルさをより強く感じさせてくれるように思われる。自分は、最愛の人が残した最後の留守電を、その喪失を乗り越えるために、消せるだろうか?