リカット

永い言い訳のリカットのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.6
西川美和作品の中で一番好き。
不慮の事故で妻を失った夫が、同じく母を失った家族との交流を通して、罪悪感を受け入れながら再生していく話。

悲劇の主人公の内面にあるエゴ、劣等感、罪悪感を抉ってくる西川美和監督。何気ない日常を疎かにした時にくる取り返しのつかない後悔には、共感する人も少なからずいるはず。

山肌へ消えていくバス、海辺ではしゃぐ深津絵里。電車に乗るもっくんの横顔。印象的なシーンが記憶に残る。本木雅弘がとにかくどの瞬間も美しく、クズ男すぎるシーンも、髪ボサボサ無精髭の姿すらもかっこよかった。。。

最後がきれいにまとめ過ぎてる気もするけど、少し救いのあるラストが個人的にはよかった。

設定が似ている「雨の日は会えないと、晴れた日は君を想う」との比較も面白い。どちらも妻の喪失、片親の家族との交流、破壊と再生をテーマに、執筆、散髪などメタファーも似てるけど、描き方は違っていてそれぞれ良かったです。
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