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美術館を手玉にとった男のABBAッキオのレビュー・感想・評価

美術館を手玉にとった男(2014年製作の映画)
3.5
 マーク・ランディスという希代の贋作画家を追ったドキュメンタリー。10代で統合失調症の診断を受けた彼は、美術本にあるような名作の贋作をつくり、身分を偽って慈善の形で美術館に寄付するという行為を繰り返す。金を取らないから詐欺ではなく、本人は美術界の権威をひっくり返そうとか、名前を売ろうとかいう意図もなく、ただ自らの心の安定を求めてこの行為を行っている。
 しかし超有名作家の作品の真贋を見分けられなかったとすれば美術館の権威は落ちるし、真作として扱われる作品が贋作なのもやはり問題なのだろう。美術館がその作品を売りに出すようなことになれば、だまされる人が出るかも知れない。アートとは何か、作者と作品の関係は何か、基本的な問題を考えさせる珍しいドキュメンタリー映画。
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