EDDIE

変身のEDDIEのレビュー・感想・評価

変身(2005年製作の映画)
2.0
脳移植手術の後遺症により他人に支配され悩み苦しむ青年。“変身”していく玉木宏の狂気じみた演技はいいが、全体的に演出がチープな上、原作の巧みな伏線回収がかき消された残念な脚本。特に劇中音楽や効果音があまりにも酷く没入できない。

そういえばまだ観てなかったなとAmazonプライムでダウンロードしておいた本作。
東野圭吾作品は映像化が多い分、良作とそうではないものの差が激しい印象です。本作は明らかに後者。
主人公の成瀬純一を演じたのは玉木宏。『のだめカンタービレ』の千秋様のような俺様演技が大好きで、山田孝之と共演した『MW』では知的な犯罪者を魅力的に演じ上げた彼ですが、本作では人のいい本来の主人公と変身して狂気がかっていく模様を上手く演じていたと思います。
ただ原作や題材は面白そうなのに、主人公の意味もない突飛な行動、決して伏線を回収しない逃げの脚本、純一を手術した教授の丁寧すぎる説明台詞の数々、あまりにも安っぽい演出や効果音、ダメなところを挙げるとキリがありません。

中盤病院関係者のとある人物の死があるものの、全くその様子を感じさせない病院。あの人の死は意味を為さなかった…
一番の失敗はロマンスとサスペンスを上手く織り交ぜようとした点。逆にバランスが悪くなり、こちらも中途半端な感情しか抱けません。個人的にはもっとサスペンスに振り切ってほしかったです。
まぁ当時佐野智樹監督デビュー作ということで、ハードルがやや高かったのでしょう。キャスティングも玉木宏のほか、蒼井優や佐田真由美が脇を固めますが、当時の蒼井優は演技力も光る原石程度でまだ今のような圧倒的なパフォーマンスというわけにはいかず。誰か1人でも演技派で魅せる俳優がいればよかったものの、肝心の堂元教授役の北村和夫がまた酷い。
ここまで来ると監督の演出の問題と言わざるを得ません。アクションシーンがあまりにも下手、玉木宏と佐田真由美の絡みのシーンは全くもってエロチックのカケラもなくアングルや撮影の仕方も何とも言えません。ただ何となく撮っているレベル。

ラストシーンのナレーションで終わる部分は呆気にとられて失笑してしまいました。なんだか爽快感もない残念な作品。原作は好きなのでちょっと悲しいですね。

しかし個人的に好きな俳優の松田悟志。今や42歳ぐらいのベテランですが、映画もドラマもチョイ役が多すぎて、仮面ライダー以外の代表作が欲しいところです。陰ながら応援しています。

※2020年自宅鑑賞227本目
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