月うさぎ

ルドルフとイッパイアッテナの月うさぎのレビュー・感想・評価

3.0
斉藤洋さんの人気児童小説の映画化作品
私も大好きな小説です。
シリーズ全4作ある中の2巻までが今回のストーリーに採用されています。

黒猫のルドルフが岐阜から東京へとトラックで運ばれてしまい、飼い主のリエちゃんの待つ家へ帰ろうと奮闘するお話。
東京で途方にくれたルドルフは地域のボス猫と知り合いますが、この猫の名前を勘違いして「イッパイアッテナ」だと思い込むことから「ルドルフとイッパイアッテナ」のタイトルになっています。

映画の猫のデザインが頭でっかちで子供っぽ過ぎ、ルドルフの年齢設定もより幼い感じ。それを受け入れられるかどうかがまずハードル。日本の3Dアニメは質的にディズニーやピクサーに遠く及ばない事が思い知らされるので。だからといって、いつまでジャパニメーションやってんですか?という問題も一方にある。やってみないことには進歩はないですよね。

私の好みとしてはもう少し顔のデフォルメを控えめに、猫の肢体の優美さを取り入れたキャラクターデザインにしてほしかったですが。

猫大好き人間からは猫の飼い主酷いとの批判殺到。も、わかる。
けど、このお話は猫が主体なので。人間はハッキリ言ってただの脇役です。
猫も成長するという。社会の中で逞しく自立できるという。そういう可能性を明るく描く話なので。
感動はするけれど、そもそも泣く話ではないんですよ。だからルドルフ泣き過ぎ演出はホントはやめた方がいいです。

イッパイアッテナの名言
「絶望は愚か者の答えだ」
元ネタはベンジャミン・ディズレーリの名言
「絶望とは愚か者の結論である」
Despair is the conclusion of fool
から取られています。
これが教養でないなら、何が教養?
文字を書けること程度を教養と軽々しく口にしてと批判している方がいたが、有名なこの言葉に気づかなかったか、知らなかったのでしょう。

猫の言う「教養」にめくじら立てる大人がいる事に驚きましたが。原作でも確かに教養って言ってたと思うけど…。子供が教養の定義にクレーム言うなんてありえないし。

世の中真面目過ぎで許容範囲が狭くなってない?って最近感じます。
猫に餌をやる行為も社会問題になっている昨今。イッパイアッテナが住める街は徐々に失われているでしょう。
ウチの近所も猫の姿、随分少なくなりました…
月うさぎ

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