ドント

ディストラクション・ベイビーズのドントのレビュー・感想・評価

3.6
ケンカに明け暮れていた青年が港町を飛び出し都会へ。その暴れっぷりに惚れた高校生と共にさらなる深みへと……とあらすじを書くとそれっぽいのだが、実際はただただ暴力暴力暴力の連続、得体の知れぬ衝動がスクリーンに飛び散る暴力映画。
青年は人間というよりかほとんど神かバケモノのよう。この人間離れした存在を柳楽が完璧に演じており震えが来る。そんなモノに調子こいて触っちゃうかわいいドクズくん・菅田の演技も素晴らしい。
青年が何か食べる場面はほとんどなく(一ヶ所だけあるけどあれは皆さん絶対笑います)、一晩寝ると全回復してる(ドラクエかよ!と思ったらそんな台詞が出て来るぞ)など、どこか現実から離れた感触に満ちているので、これは暴力を扱った一種の寓話として観るのが正解なのだろう。災厄のような暴力に触れて、人生が変わってしまう人々の話というか。
惜しむらくは暴力の濃度がまちまちで、ここという場面がボカされている点か。商店街の場面(ドン引きです)レベルのすごいやつがどんどん加速度的に出てきていたらまぁすごかったろうな…… 柳楽には16年最優秀背中賞とグラサン外し賞をあげたい。あとノイジーにも程があるBGMも素敵。
ドント

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