そーた

ディストラクション・ベイビーズのそーたのレビュー・感想・評価

4.0
日本風の中指

最近、妙に、無性につまらなくて。
そういう時に出会えた作品がこれ。

日本映画よ、
本当に、本当にやっちまいやがったな。

ファイト・クラブの衝撃と、
ザ・ワールド・イズ・マインの不快感とが、
向井秀徳のギターノイズに見送られ、
行き着くところまでいっちゃった大問題作。

柳楽優弥と菅田将暉。

純度の高い暴力を、芸術だと割り切れてしまうほどな演技の応酬。

凄まじすぎる。
ぶっちぎれてる。

「もっといけるやろ、、、?」

柳楽優弥演じる泰良の、
囁くようなこの一言に全てをかっさらわれてしまった。

暴力を、肯定も否定もしないで、
余分なものだけをただただ削ぎ落としていけば、
それは"衝動"と呼ばれる何かになる。

そういうまがまがしさが僕らの中には何かしらの形で存在してるはずなんだ、、、

暴力に感化され、また暴力に抵抗しようとする、作為的な暴力。
世間に渦巻く無関心や虚無だったりの、冷めた暴力。
匿名故にネット上に蔓延する、
無責任な暴力。
伝統的な祭の熱気を支える、
プリミティブな暴力。

様々な形で現れる文明社会のバイオレンスを、だが、泰良はニヤリと嘲笑う。

なんという、挑発。

マゾヒズムとサディズムの両刀が、
厭世気味な現代を鋭く切りつける。

なんという、皮肉。

これは、
世界に日本風の中指を突き立てた快作でもあるし、
現代日本に対する完全なるフィードバックでもある。

この感覚。
忘れたくないよ。

ただ、
汚い作業着を切る羽目になった菅田くんが、
チラッと鏡をチェックするシーンのさりげないユーモアにニヤリとしているくらいが平和でちょうど良いんだよな。

うーん、やはり、
平和が一番だね。
そーた

そーた