Naoya

ヒトラーの忘れもののNaoyaのレビュー・感想・評価

ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)
3.1
第二次大戦終結後、ナチス・ドイツ軍の占領下にあったデンマークの海岸線に残置された、無数の地雷の撤去に赴くドイツ人少年兵たちの物語。そして、そ強制労働を指導する1人のデンマーク人軍曹の物語。史実に基づく濃厚な戦争ドラマ。戦時中だけでなく、戦後こそ訪れる戦争の悲惨さや残酷さを、少年兵と軍曹を通してヒシヒシと伝わる、生々しい内容。後処理を強制させられる少年兵たちの姿は、地雷を撤去する緊張感だけでなく、幼さのある少年らしい心情が滲み出ていて辛さこそ感じる。労働を強いる軍曹もまた、戦争の不純さを感じ、良心の呵責に苛まれる姿は辛さが伝わる。戦争の終結とは何か。何をもって終了を告げるのか。傷跡を残した国に住む者、そして残された者たちは何を思い、どうなっていくのか。戦争への重いメッセージ性が強く、感じなければならない内容。描かれるべき〝ある視点〟の物語。数々描かれたナチス・ドイツ関連映画がありながら、まだ伝えられてない事が多々あることを痛感させられる。そして、本作での映画としての結末は一応にあるが、決して終えることのない深い闇を提示しており、余韻の後味の悪さはあるがそれがまた良く傑作。
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