チーズマン

バーニング・オーシャンのチーズマンのレビュー・感想・評価

バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)
3.7
“人的”災害パニック

監督は
『 バ ト ル シ ッ プ 』
などのピーター・バーグ。

予告などからのイメージからよくあるタイプの、まず何かパニックになるような事態が起こってから後の大部分はどうやって逃げるのか対処するのかをスリリングに見せていく映画かと思ったら少し違って、“炎の中の絶体絶命の危機!”みたいなのはこの作品にとってはあくまで一部であり、いかにして災害が起こりその結果どうなったかまでを含めた全部を娯楽映画(敢えて言うが)として楽しむような作品でした。
なので決定的な事態が起こるのは結構時間が経ってからですね。

その“決定的な事態”までを最初からわざと分かりやすく暗示させまくってこちらを「ほお〜、どれほどの事が起こるか見せてもらおうじゃないの」と煽っておいて、いざその“決定的な事態”が起こると「あっ、これやばいわ…」と見事に思わせるから大したもんだと思いました。実際に大掛かりなセットを組んだおかげなのか説得力がすごくありました。
あと至る所で物が飛び散る音も含めた音響が良かったんで劇場で観た方が絶対良いですね。

この災害は明らかに人災ではあるんですが、それを引き起こした悪役にあたる人物は超嫌な奴だけどべつに金に目が眩んだ極悪人って訳じゃないですよね、これは大きな組織として付いて回る問題、いや組織じゃなくたって同じか、そこが怖いところだなと思いました。
起こるか分からない万が一の事故と、それを防ぐことによる気が遠くなるほどの桁の損失を天秤にかけたら希望的観測の方を選択してしまうってことって、この出来事じゃなくても大なり小なりあると思う。
しかも大抵は万が一が起こらないのも事実。(偶然起こらなかっただけとも言える)
でもそこで、自分ご会社での立場は悪くなるだろうけど英断ができる人物こそ立派な人だと思う。しかしそんな人がどれだけいるか…。
そういう面ではあれだけ現場側からは頼りになるカート・ラッセルだって現場の責任者としてなんだかんだ言っても結局は希望的観測にすがってしまったわけだから。まあ、だからこそあんな痛い目に遭っちゃうんだと思いますが。

ただ、もしそれが起こった時はどうなるかを気を引き締められるような作品だったと思います。

最後は実際の映像や情報が出てくるとズンと響ますが、そこはピーター・バーグ…まあこれは一応良い意味でかな、重くなり過ぎないです。

ピーター・バーグ監督、主役マーク・ウォールバーグとタッグでの実際の出来事の映画化が社会派な娯楽映画としてのほど良いバランスとして、さては味をしめたな。前の『ローン・サバイバー』もだし、次は確かボストンマラソン爆破事件な映画化でしたね。

いや全然面白かったんでいいんだけど、また愛すべき大味バカ映画『バトルシップ』のような作品を今度はウォールバーグとカート・ラッセルと、なんなら是非マルコヴィッチも加えて、また撮ってほしいな!
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